至極のシスコン・ブラコン漫画 ―『鬼灯さん家のアネキ』のすすめ―
DQだとターニアが一番好きだといったら、シスコンだのロリコンだの言われた僕ですが、
実は妹よりも断然姉が好きです。
最近の姉アニメ・漫画といえば『kiss×sis』のバカエロっぷりがいいなあと思ったりしましたが、
今回は同じようにアネキの可愛さがたまらない『鬼灯さん家のアネキ』を紹介。
1. いじられる弟といじる姉
『鬼灯さん家のアネキ』を一言で言うと、
と
の鬼灯さん家の姉弟が主人公のチョイエロ、ドタバタ風味のラブコメ4コマということになります。
自分のエロさ魅力をきちんと知ってる姉が、弟の自分に対する好意をうまく利用しつつ、
あらゆる手段を使っていじめ、そのリアクションを見て楽しむというのがこの漫画の基本構造であって、
そんな姉の行動を、
「ウゼエ!でも、たまらねえ、もっとやってくださいorz」
とか楽しむ漫画だと思います*1。
2.サブキャラの魅力とハーレムを築けない弟
こうした基本構造があった上で漫画の魅力を補強するのが、
これまた個性豊かなサブキャラ達です。
男勝りのかっこよさを誇りつつも、もっと女の子っぽくなりたいと思ってる京ちゃん
離れて暮らしつつ、姉弟の関係に冷徹な突っ込みを入れる実の姉の楓
といったお決まりの属性を持つサブキャラ達が介入してくることで、
姉弟の関係が刺激を受けて様々な方向に転がっていくように促し、、
全体のリズムが良くなり、平坦で閉じた世界になることが防止されています。
中でも、吾朗のクラスメイトの水野さんのキャラ造形が白眉の出来。*2。
黒髪ロングはそこまで好きなわけではないですが、
アンニュイな雰囲気を放つ部分が僕の好みど真ん中なのに加えて、
吾朗に対する微妙な距離感を保つことで、
姉弟のやり過ぎな関係をうまい具合に緩和する役割も担っており、
まさに物語としてのバランスを整える不可欠なサブヒロインだと言えるでしょう。
それでいてこの漫画の面白いところは、いずみのさんが書いてたように*3、
それぞれに魅力的な女の子が出てきているにも関わらず、
弟吾朗は決してモテ主人公ではなく、ハーレム漫画にはならない
ということです。
実際に吾朗は姉だけでなく水野さんを結構意識するシーンも多いのですが、
だからといって、そこから恋愛に発展することがないのです。
それどころか、吾朗がモテるという描写はほぼ皆無であり*4、
そういった意味では姉妹の関係性に焦点は絞られており、
サブキャラは目立つけれども補助的な役割を貫徹する
という構造の巧みさがこの漫画の一つの肝になっているのだと思います。
3.姉視点からみた姉弟関係
このように最終的には姉弟関係を描くことこそがこの物語の核になってくるわけですが、
その際にうまいなあと思うのが、普段は弟視点から姉に対する好意を描きつつも、
要所要所で巧みに姉視点を挟み込むことで、
単純なエロラブコメシスコン漫画に陥っていないところにあるのだと思います。
しかも、姉ハルの弟に対する気持ちや視点はストレートに表現されるわけではなく、
水野さんや楓姉さんといったサブキャラが介入する度に少しずつ表面化してくるのが巧い。
つまり、ラブコメとしての快感を損なうことなくリズムに緩急が付けられているだけでなく、
姉に対する弟のモヤモヤとした気持ちがより強調され、さらに
弟に対する姉の本心がほのめかされることで、
双方向的で有機的な姉妹関係が描かれることにつながってくるわけです*5。
こういった姉弟関係の描き方を、
『kiss×sis』とか最近の姉漫画と比べながら読むのも楽しそうです。
4.まとめ
『鬼灯さん家のアネキ』の魅力をまとめてみると、
サブキャラの魅力を生かしつつ、あくまでも補助的な役割にとどめることで、
メインとなる姉弟関係を、
軽快なラブコメのリズムを保ちつつ
且つ、さりげなく
シスコン・ブラコンを双方向的に掘り下げつつ描く
事に成功している点にあると思います。
もちろん単純に、エロウザいアネキは可愛いですし、
吾朗の姉に対する偏愛も痛々しくていいのですが、
その基本的な部分を巧みに描写する構成力が、
この漫画の魅力を一層引き立てているのではないでしょうか。
様々な楽しみ方が可能な漫画だと思いますし、
ラブコメが好きな人、姉が好きな人、
アンニュイなサブヒロインが好きな人にお勧めしたい作品なのでぜひぜひ読んでみてください。
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