「もうゴールしてもいいよね・・・?」 ―「うp主はなぜ失踪しないのかシリーズ」のすすめ―
ニコニコにおけるゲーム動画の一ジャンルに「縛りプレー」がある。
FFやロマサガ界隈では有名な動画も多く、
僕が見てる限りでも『FF5 モンク縛り』(通称「まけぼの」)のように、
マゾいプレーと魅せるプレーが融合した、
非常にエンターテインメント性が高い動画になっていて面白い。
参考:『「熱気を帯びたゲームレビュー」を求めるなら、ニコニコ動画へ行け!』最終防衛ライン2
一方でFFやロマサガに比べると勢いは落ちるが
同じRPGで、僕がメインで見ているDQ界隈にも面白い縛りプレー動画がある。
縛りプレーをしながら圧倒的に速いという点で化け物じみた動画だろう。
なにせ一般人なら4人旅でも厳しい4時間きりを勇者一人で達成してしまうのだ。
そんな感じでDQ縛りプレー動画をめぐっている時に出会ったのがこちらの動画。
タグの
「うp主はなぜ失踪しないのかシリーズ」
に惹かれて気になる回をちょこちょこ見てみたのだが、
これがまたあらゆる意味ですごい!
というわけで、今回は『ドラクエ3 アリアハンでレベルage』シリーズを御紹介。
1.DQ3縛りプレー
DQ3はドラクエシリーズの中でも屈指の人気を誇る作品であるが、
その人気の秘訣の一つが自由度の高さだろう。
仲間を自分で作れるし、転職もできる、
そして経験値が人数割りなのでパーティーの人数を少なくすればするほど、
レベルが上がりやすくなるという絶妙のバランスなのである。
その利点を生かしたプレーの一つが一人旅であり、
ニコニコだとβ時代にうpされたまつもと氏の勇者一人旅シリーズが有名である。*2
また個人的にお勧めの縛りプレー動画としては、
通称「アバカムの人」のこちらのシリーズがある。
子供の頃誰もが考えたであろう、
「アバカムを覚えちゃえば鍵取らなくてもクリア出来るんじゃね?」
という夢想を実際にやっちゃった動画である。*3
その時点でもうすごいわけなのだが、
「アバカムの人」はそこからさらに、
基本的に魔法使いのみで戦う(しかも装備品を装備しない)
転職しない(賢者にしないので回復魔法なし)
なぜかレベル99にして種を使ってステータスカンスト
などの条件の縛りプレーまでやっちゃう。
基本的にはやりこみプレー動画なのだが、
絶妙の選曲や魅せる動画編集などもあってみててとても楽しい動画になっている。
その「アバカムの人」と基本的に同じ発想に立っているのが、
今回紹介する「アリアハンでレベルage」シリーズ。
どちらもいわゆる、
「努力の方向音痴」
なシリーズだといえるが、
こちらは努力の方向性がまた違った感じにぶっ飛んでいるのである。
2.「アリアハンでレベルage」シリーズの魅力
シリーズのコンセプトが、
「アリアハンで戦ってレベルをひたすら上げる」
という点で「アバカムの人」と共通しているのだが、
こちらは特に編集をしているわけではなく、
淡々と9分前後モンスターと戦ってレベルを上げるのみである。
なので、一見すると単調でつまらない作業動画で、
「自主削除推奨シリーズ」
などと呼ばれることもある。
ただ、その点を作者も自覚しているようであり、
寝ながら見ればいいじゃないとばかりに、
動画の縦横を逆にしてUPするという発想の転換をみせてくれるなど、
茶目っ気もたっぷりである*4。
その一方で、
「あれ、これ縛り破ってね?」
的なことを平気でやらかすのがこの動画の魅力の一つ。
レーベやいざないの洞窟をアリアハン大陸だと言い切るのはともかく、
いつのまにかアリアハン大陸を脱出してしまって
エンカウント率を上げるために黄金の爪を取ったり*5
カンダタ2を倒して船をゲットし、
裏技(ラナルータの抜け穴)を使ってサマオンサに行ったり、
挙句の果てには、
とばかりに、結局は海のモンスターと戦ってレベル上げを行うなど、
とはいえ、基本的にはどこかで聞いたことある女性声優の名前のキャラが、*6
淡々とレベル上げをする姿を眺める動画であり、
それを2年以上続けているため、
「うp主はインドの修行僧」「うp主はBot」
といわれるなど忍耐力が試される動画である。*7
その挙句についたタグが、
タイトルの「うp主はなぜ失踪しないのかシリーズ」である。
ちなみに、このタグがついた動画は現在のところこのシリーズしかない・・・
3.ゴールしない美学
個人的にニコニコ動画の面白いところは、
あらゆる遊び方が許されているところだと思っている。
VOCALOIDのようにアマチュアとプロの境界線を乗り越えるようなジャンルもあれば、
本気で馬鹿をやって人を笑わせる動画もある。
また、ニコニコ技術部による「技術の無駄遣い」もあれば、
プロによる「先生なにやってるんですか」まで、
本気で遊べばそれを誰かが受け入れてくれる場が形成されてるのが魅力であろう。
そんなニコニコの片隅には、
ひたすら修行僧のように、淡々と動画を挙げ続ける動画投稿者も存在している。
そんな人たちの目には
「うp主はなぜ失踪しないのかシリーズ」
というタグは、どのように写るのだろうか?
派手さはなく目立たず、単調でつまらない動画かもしれないが、
そんなことを考えさせられたシリーズである。
ああ、久しぶりに「くまうた」を聞きたい気分になってきた…*8
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*1:ぺけぽこ氏はRTA動画の中でも屈指の再生数をほこるDQ3の元世界記録動画や、一旦削除してしまったがDQ1-5を24時間以内にクリアする動画(現在途中まで再UPされている)などで有名なDQRTA界の第一人者
*2:「デスルーラ」や「アカウント」などのネタコメもこのシリーズで有名になったといえるだろう。
*3:もっと言えばアバカムの直前でレオルムも覚えるので、「きえさり草」も不要。といっても最後の鍵を取らないのだから、そもそも不要なのだがw
*6:勇者よこやま、遊び人のと、魔法使いたむら、僧侶みずき
*7:現在Part372までUPされているので、一本9分としても全部見るのには約55時間かかる…。とりあえずは大百科を参照につまみ食い程度に見るのを推奨
*8:大愚熊Pによって毎日UPされているPS2ソフト「くまうた」を使用したアイドルマスター関連の替え歌動画。2010/12/1段階で2193作品がUPされており、多分投稿者によるニコニコで最多投稿記録であろう