ヒロインと本気で恋しようじゃないか ―『アマガミSS』全ヒロインレビューのすすめ 後編―
アマガミSS全ヒロインレビュー前編に引き続き、
前編で書いたように「6本のオムニバス恋愛映画」として描かれた、
「ヒロインと恋をする作品」という前提に基づいてレビューしていきます。
参考:ヒロインと本気で恋しようじゃないか ―『アマガミSS』全ヒロインレビューのすすめ 前編―
1.デレてる七咲もかわいいよ(`・ω・´)―七咲逢編―
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ゲームの段階から安定して高い人気を誇っていた七咲編で幕を開けたアマガミSS2クール目ですが、七咲は人気がある分シナリオ作りも難しかったと思います。2クール目に入りOPも新しくなり、心機一転第二のスタートといった雰囲気があったため、七咲派としてはいい意味でも悪い意味でもドキドキしながらスタートを待っていた気がします。
というのも七咲の場合には部活や弟のエピソードなど、薫ほどではないにせよ橘さんとの恋愛以外の要素が多く存在しているため尺不足の心配がありました。Cさん(id:hajic)とも話してたのですが*1、実際に第1話において七咲がデレるのが少し早いなあと感じたのは、入りが肝心というアニメの鉄則に加えて、単純にツンの部分を長くとってしまうと後半がしんどくなってしまうというのはあったと思います*2。
ただし、薫編と違って、例えばラブリー水泳部に乱入事件などにおいて既にクール系のツンの部分が描写されているなど、七咲の場合には本編が始まる前に12話分サブヒロインとして登場した際の積み重ねがあったので、カットをしてもそこまで不満もでない訳です。もっと言うと、弟の郁夫君のエピソードも直接的には描かれていませんし、スタッフが意図的に切り捨てたのかもしれません。いずれにせよ前半の3ヒロイン分の蓄積があってこその圧縮が七咲編のリズムを作っていたと言えるでしょう。
そうした圧縮のおかげで余裕が生まれた分、イナゴマスクや七咲ラーメンなどのお遊びも随所に挟みながらも*3、基本的には橘さんとの恋愛描写に力を振り分けられていたので、若干デレ度が高すぎるかなと思いつつも、七咲のかわいさは十二分に堪能できたと思います。あと、遊園地のシーンに関しては謎だらけでしたが、ロリ辻さんを出したスタッフの心意気は全力で評価したいですね(`・ω・´)
七咲は分類するならばクーデレ系のキャラなので比較的テンプレ通りに作っていっても十分に人気が出るキャラだと思うのですが、ツン(クール)とデレの部分の変化を比較的薄くした分、真面目な部分(ボランティアや弟の世話など)、負けん気の強い部分(部活)、そして実は甘えたいと思っている部分(最後の温泉のシーン)など、非常に奥行きのあるキャラクター描写ができていたと思います。個人的には橘さんの覗き言い訳の名演説のシーンの照れてる七咲が大好きですね。
また、七咲の魅力を語る上で外せないのが、「年下の後輩キャラなのにお姉さん属性を持つヒロイン」だという点です。これは個人的な趣味でもあるのですが*4、橘さんは男らしさとMっぽさの両面が発揮された方がよりかっこよく見えるので、それを引き出すという意味でも七咲の年下お姉さん属性はポイントが高いですし、OPのラストカットにもあるように強い母性を感じさせる柔らかさ・優しさが出ているのが素晴らしかったです。
そうした七咲の魅力を引き出した、声優のゆかなさんの名演技もたまらないものがありました。元々演技力には定評がある声優さんで、フルメタのテッサ役などで天然ボケっぷりと天才っぷりの両面性を巧みに演じ分けられていた実績もあったわけですが、そんなゆかなさんの演技によって七咲がただのかわいい後輩ではなく、アンヴィバレントで人間的な魅力にあふれたヒロインになれたのではないでしょうか*5。ただ、BDのコメンタリーにおけるゆかなさんのズバズバっぷりはちょっと怖かったですけどねw*6
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全体的にみるともうちょっとツンの部分がほしかったとか、ベストエンドも見たかったなあとか不満が残る部分がないわけではないのですが、それでも人気ヒロイン七咲逢のアニメ化という意味でみれば十分に満足できるシナリオだったと思います。
それから、七咲の場合にはお助けヒロインが分散傾向にあるため(美也、紗江、塚原先輩)、他のヒロインに比べると一人で頑張らないといけないわけですが、そうした部分もしっかりと乗り越えて橘さんと結ばれたという点からも強いヒロインだなあと感じさせてくれます。イナゴマスクのシーンのキックも素晴らしかったしw*7
後、これは僕の印象の問題かも知れませがん、七咲編は作画の面でも攻めていたなあと思うのですがどうなんでしょうか?
七咲のキャラデザもあるのでしょうが、橘さんが全体的にキリッとした表情を見せることも多いですし、逆に七咲の大人な部分を強調するためか美也は他のヒロイン編に比べて子供っぽさが強調された作画になっていた気がするのですが…
まあ、あれですよ、七咲ブランコもちゃんと見えたし、最後の温泉シーンも素晴らしかったし、七咲が傍にいる、それだけで青春が輝くんですよ(`・ω・´)
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2.幼馴染の憂鬱―桜井梨穂子編―
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シナリオ的に最も賛否両論状態だったのが梨穂子編だったと思います。幼馴染という特権的なポジションにあり、第1話のアバンの段階から橘さんのことが好きという描写が明確になされるなど、明らかに一人だけ違う状態からスタートしたのですが、物語が進むにつれてその特権性を表現する上での難しさが表面化してきた気がします。
ヒロイン視点で物語が進んでいくという意味では薫編と同じわけですが、初めから好きという前提が第1・2話の段階ではいい方向に作用して、おっとりした梨穂子の可愛さが前面に押しだされ、いいスタートが切れたと思います。
ただし、橘さんは決めるところは決めるかっこいい男なのですが、それと同時に気付かない時には全く気付かないニブチンでもあるので、梨穂子のおっとりさが第3・4話になってくると逆にもどかしくてたまらない状態になってきます。
ここで評価が分かれるのですが、ラジオだとLDさんやルイさんなんかは、ラブコメ的に特権性を持ったヒロインの強さを梨穂子も持っているという前提にたって、最終的に告白もなく一緒に部活を頑張っていくという描写でも梨穂子の(ギャルゲ的・ラブコメ的な意味での)強さは表現されていたといった意見だったように思います。
一方で、ゲームのころから梨穂子ファンだった人から見ると、梨穂子の甘々な部分こそ描写されど、他のヒロインと違ってキスさえもできない、「俺たちの梨穂子は結局そこまでか」的な不満が募っても不思議ではないでしょう。
僕は特段梨穂子派というわけではないのですが、「梨穂子はかわいいなあ」と本気で呟いてる知人たちを見ていると、どこか消化不良感が残るのは仕方ないかもなあと思ってしまいます。
ゲーム本編や、橘さんと付き合い始めた後のちょっとおまけ劇場における梨穂子のかわいさは半端ないですしね。何度もいっているように「アマガミは青春時代の全力の恋を体験する」作品だと思っている僕のような立場の人にとっては、青春時代の側面は十分に出ていても、恋愛という部分に関してはどうしても納得がいかない部分がぬぐえないのかもしれません。
ニコニコにおいて毎週アマガミを楽しんでた総統閣下も、梨穂子編のENDにはお怒りになっていたようですしね…
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そうした複雑な思いと同時に、梨穂子の恋愛という要素をいったんおいて考えると、梨穂子編自体の出来はよかったとも思うのです。まず、香苗ちゃんはお助けサブキャラとして優秀なだけでなく、行動力があってりりしい姿がとってもキュートです。松岡さんの仕事が素晴らしいんですよね。
そしてある意味で梨穂子編の主役と言っていいかもしれない茶道部の先輩コンビの存在感が半端ない。橘さんとセットで本気で梨穂子の事を心配しつつも、どうしてもその異常なまでの存在感のせいで梨穂子と橘さんの恋愛部分を食いとってしまうんですよね。僕もあの二人はすごい好きなキャラだけに何とも言えないのですが、恋愛以上に部活がフューチャーされちゃったのはちょっともったいないかなと思う次第なのです。
ただ、20話におけるラブリー対茶道部先輩コンビの対決シーンはアマガミSSにおいても屈指の迷名シーンですね(`・ω・´)
また梨穂子の立場から考えるとこれだけ強力なサポートを受けているだけに、「一緒に茶道部やっていくだけで満足しちゃっていいのか?」という想いがあるわけですよ。
まあ、梨穂子の場合は幼馴染ですし、他のヒロインと違って時間的な猶予が残されていると言えなくもないのですが*8、アマガミの魅力を「高校生としての恋愛」という部分に見ている僕としてはやっぱりなんかなあという感じが残るんですよね…
まあ、こうしたもやもやに関しては、薫編と同様にBDで見直していると解消される部分もあるでしょうし、コメンタリーにおける平池監督の意図を聞いてみてから結論を出したいなあと今のところは考えています。いや、間違いなく梨穂子はかわいいし、ちょおま劇場の梨穂子は絢辻さんと薫をさらっと撃退してしまう強さを誇っているだけに、うーん…
やはり梨穂子編については、まだ心の整理が十分についてない感じですね。まあ、ED曲じゃないですけど、恋もダイエットもあせらずの精神が必要ってことなんでしょうな。
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3.やはりパッケージヒロインは格が違った―絢辻詞編―
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6番目に満を持して登場した絢辻さんは、「さすがパッケージヒロインは格が違った」というところを存分に見せつけてくれました。本当にメインヒロイン6人のラストを飾るにふさわしいシナリオでした。
絢辻さんの場合、前に来る5人のヒロインのシナリオにおいてはずっと「仮面優等生」を演じ続けてきていたわけです。もちろん、真の顔を知っている人にしたら、「おお、徐々に黒辻さんが漏れてきつつあるな」と期待もあおっていたわけですがw どちらにせよ、本編が始まるまでのタメが最も長かったのが絢辻さんというのは間違いないでしょう。
その上で更に、本編の1話をほぼ丸ごと白辻さんで通したことで、最後の逆転がこれ以上なく劇的になったわけです。しかも、水滴が滴り落ちるスク水で、どう考えても何人か抹殺してるよねっていう動きで、橘さんのネクタイを締めあげるわけです。
この時点で、アニメから入った視聴者は「なんじゃこりゃー!」ってなったでしょうし、逆にゲーム本編を知ってる視聴者は「黒辻さんキタワー!!」と歓喜したことでしょう。導入の時点でこれまでの構成を十二分に生かしきった素晴らしいシナリオになっててこの時点で大勝利がほぼ確定だったと思います。
1話ですでに逆転のカタルシスを配した上で、2話では黒辻さんがアクセル全開で橘さんを攻め立てます。もう、絢辻さん編2話はラブリー編3話、紗江ちゃん編2話をしのぐ圧倒的なシナリオで、「絢辻さんは裏表のない素敵な人です」(復唱)や「みなさーん、ここに変態がいますよ!」などの名言とともに「天下無敵」の側面を見せつけてくれました。
それと同時にお姉さんとのエピソードなどにおいておっちょこちょいな一面や弱さも垣間見えるなど、フルコースどころか満漢全席といっても過言ではないくらいの豪華さでしょう。
うん、全国で絢辻養豚場に通うために「豚になりたいね」と思った絢辻さんファンが何千万人発生したかははかり知れません…
しかし、アマガミファンはラブリー編では子犬になって「(∪^ω^)わんわんおー!」と雄たけびをあげ、絢辻さん編では「われわれの業界ではご褒美です、ぶひぶひ」と鳴き声をあげるのでタフでないとやっていけませんw
こうして最強の証を見せつけた絢辻さんですが、3話においては文化祭の準備をめぐってクラスメートと衝突し、自分を保てなくなっていきます。
この時点でMっけにすっかり目覚めていた橘さんは、薫*9や梅原とともにサポートに回りつつも、もはや黒辻さんなしでは生きていけない体になっているため、絢辻さんの心の動きを完全にフォローすることができませんでした。
本放送で3話が終わった時点では、正直興奮して舞い上がっている状態だったので、こりゃあ「BAD ENDもあるでぇ」とか考えてしまうくらいのめりこんでいたのですが、冷静に考えると、絢辻さんは最強であるがゆえに誰にも頼ることができない孤高のヒロインだということがこの時点で示されていたのです。現に絢辻さん編にはお助けサブヒロインが不在ですし。
確かに、3話のラストで黒辻さんを封印してクラスに溶け込んだあとはクラスメイト全員が絢辻さんの仲間に回りますが、一方で真の意味で絢辻さんを解放してあげられるのは橘さんだけであり、その意味で絢辻さん編は他のヒロイン編とは違い、これまで以上に主人公とヒロインの間の関係性に集約されるシナリオだと言えるでしょう。
不安を抱えたまま迎えた最終話では、文化祭の準備が着々と進んでいく中で、今度は橘さんが全力で絢辻さんと向かい合い、強い部分も弱い部分も全部含めた絢辻さんが大好きなんだという思いを告げることでハッピーエンドを迎えることになります。
ここら辺の「(Mっ気を保ったまま)全力でぶつかっていって、はずすことなくきっちり決めてくれる」ところはアマガミSSにおいて一貫して描かれてきた橘さんのカッコよさです。そんな橘さんに対して、絢辻さんは最強の絢辻コンボで応えるわけですがw
コンボはさておき、「白辻さんに黒辻さんがあわさり、真の意味で最強のパッケージヒロインに見える」状態になった絢辻さんは本当に表裏のない素敵なヒロインであることを証明してくれました。
本当にここのやりとりはアマガミSSというアニメの核心部分を象徴していて、まさしくクライマックスにふさわしい描写として最大級に評価したいと思うのです。
また、特別さに関して言えば、絢辻さんもまたクリスマスに因縁を持ったヒロインだということです。「自分がサンタになろうと思ったのよ」という想いは、ある意味でラブリーのぶっ飛んだ性格にも負けないものであり、もっと言えばこの上なく純粋な願いでもあります。
アマガミはクリスマスに始まりクリスマスに終わる物語であり*10、その構図を最も濃密に描ききったのが絢辻さんのシナリオなのです。まさしくパッケージヒロインここにありといった感じです。
クリスマスに因縁があるといえば、絢辻さんの後に登場した上崎さんも同じであり、むしろ橘さんの因縁の原因だと考えるとメタ的な位置から物語の構造にはより強い影響を与えたヒロインだと言えるでしょう*11。
ただ、絢辻さんのクリスマスへの想いは橘さんのそれとは直接かぶらないからこそより濃密な恋愛へと発展できるわけで、僕としてはそうした絢辻さんと橘さんの関係こそが「青春時代に全力で恋をする物語」としてのアマガミを象徴する恋愛として一段上に位置づけたいと思っています。
いや、マジでクリスマスを過ごすヒロインたちの姿とともに「i Love」が流れてきて、こっそり再点火させたツリーのイルミネイションを眺める二人の姿には涙がでてきましたよ(´;ω;`)
ここまで積み上げてきたものを土台の上に『嘆きの天使』絢辻詞の魅力を描ききり、アマガミSSというアニメをきっちり締めくくってくれたにスタッフに最大級の賛辞を!そして天使ロリ辻さんを再降臨させてくれたことにも!!ww
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4.まとめ
「6本のオムニバス恋愛映画という形式にそって、高校生の恋愛を真正面から全力で描いた作品」、僕はそれがアマガミSSの本質であると考える点は後半の3人を経てもかわらないわけですが、単に別個のオムニバスというだけでなく、後半ではきっちり前半での蓄積を踏まえた上でよりどっしりとシナリオを展開してくれたと思います(梨穂子編はともかく…)。
この点に関しては、メインヒロインがサブヒロインとして登場した際にどのようにふるまっていたのかという事と合わせて考察した方が奥行きが出ると思いますし、別記事を立てて論じてみたいと思います。
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また、全体の構成・物語としての構造という点に関しては絢辻さん編の後に描かれた上崎さん編についても論じなければ片手落ちになってしまうわけですが、この点に関してはBDが発売されたのちに論じたいと思います。
ただ、あえて現時点で述べておくならば、僕が考えるアマガミSSの本質から少しずれる上崎さん編はあくまでも隠し要素・サブ要素であり、メインヒロイン6人とは少し切り離して考えた方がいいのだと思います。
ただ、アニメ本編における上崎さんの描き方が、より統合的な役割を与えられたメタヒロインとしての側面が強調されていたのも確かだなあと。もちろん、アニメの上崎さんも、「許す!てか、初めから許してたし!!」と言ってしまいたくなる可愛さでしたしねw
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いずれにせよ、「高校生の恋愛を描く作品」としては最上級に位置付けたいアニメ作品である、それがアマガミSSに対する僕の評価です。もちろん、細かな点には不満がないわけではないですし、橘さんの性格がゲームとは違うとは思いますが*12。
しかし、一人4話という尺で、しかもアニメというより広い層の目に入るメディアで展開されることを考えると、より普遍性の高い構成と演出にドラマ的なフレームワークに落とし込みながらも、「変態性≒青春のほとばしり」というアマガミの特徴を損なうことなく恋愛を描ききった平池監督をはじめとするアマガミSSのスタッフの仕事はもっともっと高い評価が与えられるべきだと思います。
参考:ヒロインと本気で恋しようじゃないか ―『アマガミSS』全ヒロインレビューのすすめ 前編―
追記:結局我慢できなくなったので、BD発売前に上崎さん編もレビューしてしまった。
*1:ちなみにCさんの新OP「君のままで」のブルマは誰かに関する考察記事『アマガミOPのお尻の謎』は実に秀逸なので未読の方はぜひ
*2:この点は後述する絢辻さん編の第1話と比べると明らかかなと
*3:ラブリーの塩ラーメンといい、アマガミスタッフはラーメンすきすぎる
*4:例えばアイマスのやよいなんかもロリキャラというよりは、お姉さん属性部分のほうに惹かれますね
*5:ゆかなさんの演技論で興味深かったのは、「キャラソンは歌というより演技だとおもってやってます」というコメンタリーの発言で、そうした部分からも「この人根っからの役者だなあ」と感じさせてくれます
*6:前編で一緒にコメンタリーに出てた、声優界随一のギャルゲーマー寺島拓篤のタジタジっぷりは必聴です
*7:あのシーンは特撮オタのスタッフが頑張ったそうですw
*8:現に梨穂子編はクリスマスどころかバレンタインも通り越して、4月の新学期で終わりますから
*9:個人的にはここで絢辻さんのフォローに回った薫のカッコよさは素晴らしいと思う
*10:スタッフもわざわざ変則的に7月に初めて、最後クリスマスに終わるように放映スケジュールを組んでますし
*11:LDさんやルイさんなんかの記事を参照してもらえるといいかと
*12:ゲームほど突発的な変態紳士行動をしませんしね