レスター伯の限界

気付いたらVtuberになってた

二次創作の最前線はここにあるー咲SSのすすめー

 先週、海燕さんエヴァ実況ニコ生にピンチヒッターで登板したのがきっかけになって、久しぶりにペトロニウスさんLDさんたちとラジオに参加した。

 

ゆるオタ残念教養講座、海燕がエヴァをニコ生実況『エヴァ17~19話』 - ニコニコ生放送

物語三昧ラジオ~『咲』SS - 今何処(今の話の何処が面白いのかというと…) 

 

 前者のエヴァ生は、ペトロニウス・LD両御大によるエヴァ語りの聞き手に回っていたのですが、後者のUSTREAMラジオでは逆に敷居さんと一緒に僕が最近ハマっている咲を題材にして、二次創作世界の拡がりについて話をさせてもらった。

 そのとき話した咲二次創作の新しさについては今後記事の形で別個まとめたいと思っていたのですが、その前に海燕さんがブロマガで簡潔な形でまとめてくれた。

 

『咲』と『アイマス』の落差とは? プロ作家神話崩壊時代における無限増殖二次創作の宴。(2134文字):ゆるオタ残念教養講座 - ニコニコチャンネル:エンタメ 

 

 この中では、なんJなどネット上の場の問題や、アイマスにおける最近の展開等についてのフォローが抜けていますが、大体僕がいいたかったことがすごく分かりやすい形でまとめられている。これは会員になって、是非全部読んでもらいたい(ステマ)。

 その記事のフォローも含めて、今後、咲二次創作に関する長文記事を上げたいと思っているが、その前に、「じゃあ、どのSSを読めばいいのか?」という問題に答えるために、個人的にチョイスした咲の傑作SSを、ジャンル別に50個まとめてみた。 

 咲SSの世界が本格化して約半年。ブログにまとめられるものだけでも、一日5−10個程度あり、よっぽどハマらなければその全てを追うことが難しくなってきている。そこでこのまとめ記事をガイドにして、自分の好みに合いそうな物を見つけてもらえれば幸いである。

 

 なお、ここに上げた50個すら読む時間がない(もったいない)という人は、最後にあげた⑧長期連載シリーズ+⑨一話完結傑作シリーズ+⑩奇才シリーズだけでも読んでみてほしい。また、9月段階でのスレでの人気投票の結果へのリンクも以下に貼っておくので、人気上位作品を中心にあたってみるのも一つの手である。

 

・ 「咲-saki-」SS人気投票の結果を発表するで~:えすえすMode 

 

*咲はキャラが多すぎて覚えられないという人は、ニコニコ大百科の描写が充実しているので、参考にすると吉。

 

咲-Saki-とは (サキとは) [単語記事] - ニコニコ大百科 

咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-Aとは (サキアチガヘンエピソードオブサイドエーとは) [単語記事] - ニコニコ大百科 

 

 

① 咲SS爆発の源流ー屑怜(怜竜)シリーズ

 咲SSが爆発的に増加するきっかけになったのは、今年4月から始まった咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A』の影響が大きかった。特に物語が佳境を迎えた6月以降に、特に人気が高かった園城寺怜、およびそのパートナー清水谷竜華に関するSSが増えたのが今の流れを作ったのは間違いない。

 

咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A 四 [Blu-ray]

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 ただし、SSの中の怜は本編の病弱キャラというよりは、竜華をあざとくからかう小悪魔的な側面が強調される傾向があり、その傾向が進化した結果、エロおっさんな怜、ギャンブル狂の怜、各地の女をたらし込むジゴロなヒモ怜など、総じて屑怜と呼ばれるシリーズが展開して行くことになった。

 その結果が、竜華のNTR(寝取られ)属性強化にも繋がる等、現在のいわゆる「風評被害(風潮被害)」の原型がこの時点で見えていた。現在展開している咲SSの源流にして原点。それが屑怜シリーズである。

 

 竜華「優勝やーー!!」怜「ヒトラー総統にお礼言わなかんな」 (ストーリア速報)

 屑怜と共に咲SSの創世記を支えたのが通称「ナチス怜」シリーズ。千里山の面々にナチス、そしてヒトラー総統への崇拝を強要する美少女怜というギャップが多くのファンの心をつかんだ。

 

怜「竜華、ちょっとお金貸してくれへん?」 (えすえす)

 屑怜の典型例の一つ、怜が嫁の竜華に金をせびりいけない遊びに手を出すシリーズ。ギャンブルのパターンも多いが(「トータルでは勝ってるんや」という怜を思い浮かべてください)、この場合は竜華の金で全国の女の子の下を行脚する話。屑怜、竜華NTRの本質、ここに極まれり。

 

怜「誰や……うちのパソコン壊したんは……」(おかしくねーしSSまとめ) 

 授業中も部活中もひたすらエロ画像を集める怜という、もはや「俺達」 と化した園城寺先輩。そのシチュエーション自体も面白いが、フナQセーラ高一最強(笑)たちを含めた千里山メンツとの掛け合いが面白い一品。

 

竜華「ずっと一緒やで……怜」(おかしくねーしSSまとめ) 

 屑怜ばかりではなく、ガチな怜竜も読みたいという人にはこちらがおすすめ。怜と竜華の絆、特に竜華の強さに焦点を当てた作品で、最後の竜華の決意とそれを見守る怜の「姿」にウルウルさせられる。

 

怜「大学って友達おらんと辛いなあ…」照「うん…」(おかしくねーしSSまとめ)

  怜といえば竜華ですが、本編の先鋒戦において戦ったとのカップリングも二次創作では盛ん。そんな怜と照のカップリングを、竜華やも混ぜて大学を舞台に描いたのが本作。大学シリーズは最近増えてきているが、その源流にも繋がる作品である。

 

2.本編とはひと味違う熱い物語ーifストーリーシリーズ

 本編では惜しくも敗れ去った高校、また、物語進行の都合で殆ど描写されなかった(通称「キンクリ」)キャラも多く存在する。そんなキャラを中心にしたifストーリーも数多く書かれてきた。

 咲の場合にはキャラクターの強さが中心で、物語描写に物足りないという人も多いと思いうが、そうした人たちの想いを、自分の思い入れのあるキャラに混めて描くのがこのシリーズの特徴かもしれない。

 

穏乃「阿知賀で全国に行くんだ!!」 (おかしくねーしSSまとめ)

 タイトルは穏乃ですが、本編の主人公は「ニワカ先輩」こと晩成高校の小走やえ。 「ニワカは相手にならんよ」という言葉を証明するかのごとく、衣や池田たちも集った阿知賀が全国大会を勝ち進んで行くifストーリー。

 SSにおける小走先輩の人気の高さが伺える作品。何と言っても見所は「勝利のニワカ音頭」。

 

穏乃「一〇年前にタイムスリップしてしまった……」(おかしくねーしSSまとめ) 

 全国準決勝を前に穏乃が10年前にタイムスリップ 。レジェンゴになる前の晴絵達とともに全国初出場の阿知賀を全国決勝に導くために奮闘するSS。コメディタッチとガチのバランスが素晴らしく、また、いまいち影が薄いといわれていた阿知賀女子の強さの本質に迫ろうとする所がすばらしい。

 また、咲SS界のトリックスター姫松赤坂監督代行を上手く使った作品で、最後のシーンの穏乃と代行の姿には不覚にも感動させられる。

 

 

照「清澄にも麻雀部はあるのか・・・」【咲-saki-】 (おかしくねーしSSまとめ)

 照が清澄に進学して、久(部長)と共に清澄を全国優勝に導こうと奮闘する物語。照の替わりに白糸台に進学した咲と役割が逆転させることで、本編とは違った形で宮永姉妹の邂逅を描く、初期のifストーリー系の傑作。全国決勝で咲に相見えるであろう、穏乃の描写が実はポイントになっているのも熱い。

 なお、晩成を描いたスピンオフもあるが、そちらも傑作。

 

セーラ「白糸台他から推薦の話が来たで」 セーラ「白糸台高校に入学したで」 (おかしくねーしSSまとめ)

 千里山の江口セーラが白糸台に進んでいたらというifストーリーで、照の意固地なキャラクターをセーラーが溶かして行く様子が見所。また、千里山の二人(怜と竜華)とセーラーの関係も高校は違えど描かれ、咲SS界の豊穣さを示す作品にもなっている。

 現在進行形でSSが続いており(後編はこちら)、大会後の照セーラーを描いた続編(完結編?)が待たれる。

 

咲「四校合同ドラフト?」(おかしくねーしSSまとめ) 

 こちらは正確にはifストーリーではないが、長野決勝を戦った四校でドラフトを行うSS。長野決勝の他に、Aブロック準決勝Bブロック二回戦、また全高校生雀士を対象としたドラフト等の作品もある。

 見所は上位で選ばれる怪物達を尻目に、なかなか選ばれない戦犯陣、地味陣の心理描写にある。台詞が少ないキャラにまで愛(?)が込めれる咲SSだからこそ出来る作品だといえる。 

 

 

3.本編とはひと味違う新たな可能性ー新カップリング開拓シリーズ

 USTREAMの時にも咲は従来の百合作品に比べると、少年漫画的キャラ立て(特に能力の存在)がなされているために、カップリングが固定化されにくいと話しましたが、まさしくそうした特性が生かされるのが、新カップリングを開拓するSS。

 咲のどかじゅモモ部キャプなどの王道もいいが、組み合わせの自由度が高く、かつ、関係性の中で描写が少ないキャラのキャラ付けが進められるこのシリーズはキャラクターの関係性を中心に咲の世界を拡げていく中心に存在するといえる。

 

蒲原「焼肉行くぞー。何食べたい?」衣「衣はユッケ♪」 ( 週刊少年SS) 

 初期咲SSを代表するカップリングといえば、やはりワハハの「ワハハ衣」。元々個性が強いキャラが組合わさることで、その個性が化学反応を起こして「もうわかんねえな...これ...」となった代表例。彼女達が現れると、不幸はもう、避けられない...

 

・ 【咲SS】ミニスカメイド洋榎「い、いらっ、っしゃい・・・ませ・・・」/// (おかしくねーしSSまとめ)  

 愛宕ネキ×セーラ×荒川憩という大阪三強が中心となるカップリング。中学生時代から繋がりは絶対にあるだろうけど、本編では今後描かれることはないであろうこの組み合わせを読みたいという読者の願いが具現化した作品。

 

洋榎「必勝祈願や!」(おかしくねーしSSまとめ) 

 本編では全く絡みがなかったものの、SSを通じて最も有名なカップリングの一つにのし上がったと言える愛宕ネキ×はっちゃん。源流は9で紹介する『洋榎「大阪デート」』に遡るが、この二つを合わせて読めば、ネキ×はっちゃんの組み合わせをみるだけでガッツポするようになるはず。

  

胡桃「そーゆーのいーから愛の告白!」洋榎「あ……好きです……」:(えすえすMode)

 上記のネキ×はっちゃんとは逆に、本編でも強烈な絡みがあった愛宕ネキ(ボケ)×胡桃ちゃん(ツッコミ) を基盤にしたSS。なので、既存のカップリングともいえるが、その構造を上手くいかして、最後にハットさせてくれる作品。咲SS界のカップリング構造の豊穣さを象徴する一品。

 

哩「準決勝進出と二回戦敗退。九州最強は新道寺でよかと?」霞「は? - 」(おかしくねーしSSまとめ) 

  近作では最も良かった新カップリング「×」。また、その二人だけに留まらず、羊先輩など全ての新道寺の部員に光をあてて、永水との間の学校単位+個人単位のカップリングを成立させた希有な名作。

 

 

4.多作品との夢のコラボークロスオーバーシリーズ

 麻雀を打たないSSも多い中、他の麻雀作品とのコラボを前面に押し出すのがクロスオーバーシリーズ。咲世界は超人的な能力が中心になるのに対して、プロによるイカサマ技の匠が光るのがこのシリーズの特徴。咲キャラ達と意外になじんでるのが面白い。

 

玄「く、くろうと……」 哲也「……バイニンだ」(えすえすMode) 

 現代にタイムとリップしてきた哲也とダンチの二人が、窮地に陥った松実姉妹を救うクロスオーバー物語。ドラ爆クロチャーが坊や哲仕込みの技を手に入れるとどうなるかと考えると末恐ろしい...

 

玄「新道寺の……赤木さん?」赤木「ククク……」:えすえすMode 

 いわずと知れた福本麻雀漫画の金字塔『』のキャラたちが、女子高生として新道寺に入学し、すばら先輩とともに咲世界の怪物達と戦う、ある種麻雀漫画オールスター戦。これまたバイニン達の冴え渡る技が見所だが、それ以上にすばらに萌える赤木や原田達のギャップが面白い。

 

咲「京ちゃん、最近、よく遠い目をしているよね?」 (おかしくねーしSSまとめ)

 最強の麻雀能力を身につけた京太郎を描く、通称ヘルカイザー京ちゃんシリーズの最新作。今回はあのムダヅモのジュンイチローと コラボして国際政治のために戦う京太郎を描く。落ちの付け方まで含めて、大和田節満載であり、京ちゃんファン必見の一作。

 

・ 淡「なんです、照隠しって?」 (おかしくねーしSSまとめ) 

 こちらは麻雀漫画ではなく、中の人繋がり(照とレナ)による『ひぐらし』 とのコラボ。謎の失踪をした照をおって長野まで駆けつけた菫と淡を待つのは... サスペンス系SSの最高峰の一つだが、解決編は半年近く投下されておらず、最も続編がまたれている作品の一つでもある。

 

 恒子「すこやんと宮永照ってどっちが強いの?」(おかしくねーしSSまとめ) 

 アラフォー(アラサーだよ!)こと、小鍛治プロの化物っぷりを描いた作品。 正確にはコラボではないが、ネタの下敷きになっているのはHUNTER×HUNTER。「感謝のツモ切り一万回」「楽しいっ!麻雀って楽しいよ!クソみたいな配牌から、こんな素敵な手が出来る!」などぐう名言多し。雀力が高ければ何でも出来る。

 

 

5.SSスレならではの魅力ー安価系&掲示板シリーズ

 通常の文章系二次創作とは違い、2chSSの特徴ともいえる安価を生かした作品群。咲SSは作者だけでなく、読者も創作過程に関与していることを象徴するシリーズといえよう。神SSの影には神安価あり。

 また、安価系以外に咲SSを特徴付ける一つが、掲示板ものとでもいうべき、作中ネット掲示板におけるやりとりを中心に据えたシリーズ。チャットものと合わせて、相手が直接みえないゆえのやりとりの過激さが面白い。

 

 

 穏乃「大将戦の4人で鍋?」 (おかしくねーしSSまとめ) 

 Aブロック準決勝の大将戦を戦った4人(穏乃、淡、竜華、姫子)による闇鍋を描いた作品。入れる具を安価に任せることで壊滅的な鍋が出来上がるわけだが、そのハチャメチャな様子が奔放な穏乃や淡のキャラと合わさることでなんか納得させられてしまう作品。なお、大将戦シリーズ(遊園地お泊まり回入れ替わり)はシリーズ化されており、その中で展開する淡竜に一喜一憂する作者も多いだろう。

 

洋榎「近道したら足がミゾにはまってもうた」(おかしくねーしSSまとめ) 

 こちらも最近定番のシリーズとなりつつある、ネキ×ちゃちゃのんの人の安価系シリーズ(絹ちゃん編トイレ編雅枝編)。毎回誰かが溝や穴にはまり、そこに通りかかったキャラに助けを求めるも... といった内容のコメディ。毎回毎回の無茶ぶり安価にけなげに答える作者のやり取りが見所。そして、ちゃちゃのん音頭の音源化が待たれる...

 

灼「不覚にもアラタwwwwwwwww」(インバリアント)

 掲示板シリーズの代表作、阿知賀女子の部内掲示板でのやりとりを描いた作品。秀逸なタイトルにもなっている、部長憧ちゃんのやり取りが一番の見所。また、本作品中でレジェンゴのブログをやっているという描写がなされたが、それが「ハルエニッキ」の形でまさかの本編への逆輸入(ポロロッカ)されるという快挙も(違う。

 

シズ「雀士掲示板?」 (おかしくねーしSSまとめ)  

 雀士達によって建てられるスレッド型掲示板でのやり取りを描いたコメディ。続編続々編も存在。特に淡の内弁慶なバカさとそれに対する秀逸な突っ込みが見所。それにしても掲示板物にでてくる咲キャラ達は、いつもどこから湧いてくるのか不思議でならない。

 

池田「華菜-Kana-…?」 | SS保存場所(ニュー速VIP) 

 最後はひと味かえて、物語自体は安価で進まないが、安価で集まったメンツによる傑作ifストーリーを紹介。池田、照、佳織はともかくとして、本編で和につっかかる田中(今宮女子)、さらにいえば本編では一言しか発さない上柿(千曲東)といったモブまで組み込んで、見事な物語にしたてあげた名作。個人的には池田ガチSSの最高峰だと思う。

 

 

6.ほのぼの(?)とした日常ー日常系シリーズ

  咲の日常描写に焦点を当てたシリーズ。公式でも『咲日和』の形で日常系四コマが発売されているが、SSでも日常物が最も数が多く、人気のジャンルだといえる。

 また、日常物は高校単位で描かれる作品が多く、本編で描かれた数少ない描写を下に、キャラの掘り下げ(風評被害)が最も行われる場でもある。そういった意味で、咲二次創作の核を担う。

 

咲日和(1) (ビッグガンガンコミックス)

咲日和(1) (ビッグガンガンコミックス)

 

・  照「衣類のしたに着る下着というのが販売される」菫「嘘だ!」(おかしくねーしSSまとめ) 

 ここまで日常物が多かったのは白糸台だろう。 ラスボス照が所属する高校で、ビジュアル的にもインパクトのあるキャラが多かったこともあり、「二次創作においるキャラの模索→本編における描写の追加→二次創作における描写の変更・強化」という咲メソッドを象徴する存在が白糸台SSである。

 数が多すぎて紹介するのは難しいが、ここでは咲を象徴する「パンツの不在」疑惑を上手く取り込んだSSを紹介する。他にも淡尭ものなど傑作も多いので、各自で探してみてほしい。

 

塞「私と買い物に?」初美「そうですよー」(おかしくねーしSSまとめ) 

 ほのぼの日常系を代表する高校といえば、宮守女子永水女子を上げる人も多いだろうが、ここではその両校の交流を描いた作品。本編でも現在進行形で交流が描かれているが、それと合わせて敗退した高校にも焦点を当てることで、咲世界の拡がりを示してくれる作品。

 

怜「文化祭でセーラと漫才する事になった・・・」 (おかしくねーしSSまとめ) 

 「怜シフト」など 5人の絆が描かれることも多い千里山のSS。大阪弁を生かしたSSである本編は、ありそうでなかなかない怜×セーラの漫才を描いた作品。初めはぎこちなく展開するも、徐々に描写がこなれて行く様が、作中の怜とセーラの漫才のこなれ方と重なる等、素人創作であることの醍醐味を味わえる作品でもある。 

 

愛宕洋榎「はいらっしゃいらっしゃい、美味しいたこ焼きやでー」(エレファント速報)

 初期の日常ものを支えた姫松バイトシリーズの代表作。 千里山以上に「大阪」色の強い姫松だけに、無茶苦茶のシチュエーションでもちゃんと成立する様子は、まさしく咲世界の吉本新喜劇

 

玄「クイズ阿知賀女子の500のコト?」(おかしくねーしSS速報) 

 最新作からも一つ。ガキ使の同名コーナーのテンプレートを利用して、コメディ形式でキャラの掘り下げを行っているSS。テンプレ自体が優秀なので、今後様々な高校でのシリーズ展開が待たれる。

 

 

7.吹き荒れる百合の狂気ーガチ百合シリーズ

 現在の百合漫画を代表する作品の一つである咲だけに、ガチ百合の狂気を描いた作品も数多く存在する。性的な描写も多いので、苦手な人は避けた方がいいかもしれないが、その狂気の表現こそ楽しみたいシリーズである。

 

玄「憧ちゃんから大切なものを奪う」 (おかしくねーしSSまとめ) 

 通称黒チャーシリーズ。「IQ70」など咲SSにおいても最もかわいそうなキャラ付けがなされている玄ちゃんであるが、今作においてはそれに似合わぬ策略を用いて、穏憧の二人を切り裂こうと暗躍する。「クロチャ、なんでハム太郎になってしまうん...」を定着させた戦犯でもある。

 

竜華の精子A「もう少しで怜の卵子や!」(おかしくねーしSSまとめ) 

 iPS細胞を時代に先駆けて取り上げるなど、百合業界をリードしてきた咲であるが、本作はタイトルからも分かるようにマジキチとしか言いようのない一品。「女なのになぜ精子...」というツッコミがバカバカしくなる程度にぶっ飛んだ作品であり、こういうものもなんだかんだで受け入れられるのが、咲SSの奥深さであり、愛すべき所であろう。 

 

怜・竜華「百合カップルイチャイチャ同盟や!」 (おかしくねーしSSまとめ) 

 タイトルの通り、咲世界のカップル達がノンケにイチャイチャを見せつけ、百合の世界に引き摺り込もうとする作品(続編続々編続々々編)。いちゃつく様子に対するキャラ達のコメントが非常に秀逸で、その言葉回しのぶっ飛びぶりを楽しむ作品である。

 

憧「シズに毎日少しずつ媚薬を飲ませて観察する」 (おかしくねーしSSまとめ)

 アニメ放映時には「援交」的なキャラ付けがされた憧ちゃんであるが、SSの世界では穏乃好きすぎてたまらないレズ畜生四天王(和、憧、竜華、キャップ)的なポジションの方が多く、本作はそんな憧ちゃんのガチ百合な側面を描いている。ちなみに松実姉妹バージョンも存在する。

 

咲「レズから逃げ切ったら10万円?」(おかしくねーしSSまとめ)

 ガチ百合の狂気を競技化してしまったのが本作。てか、みなさん麻雀じゃなくて、鬼ごっこしてる時の方が目が輝いてますよね^^  同様の狂気を描いた作品『麻雀島?』もおすすめである。

 

 

8.かかってこいよ風評被害ー長期連載シリーズ

 半年も続くと、長期連載風にシリーズ化する傑作もいくつか現れるようになる。ここで紹介するのはそうした長期連載シリーズ物の傑作達。

 

怜「うちがエ○ゲしてる所を竜華に見られてしもた……」(おかしくねーしSSまとめ) 

*1作目(本作)→2作目3作目4作目5作目6作目番外編①→番外編②

 通称エロゲの人による、エロゲに興じる咲キャラたちの物語。主に「エロゲバレ」がテーマになっており、そのあたりはキャラに自分たちの姿を投影したシリーズともいえ、読者達が次々と咲でパロったエロゲタイトル群を上げる様子も見所の一つ。

 また、このシリーズはチャット(→オフ会)が重要な位置を占めている点が、この作品が咲SSであることの必然性にもなっている点が面白い。(形式としては最後に紹介するカンちゃんシリーズの後継者といえる) 

 

玄「おもち診療所!」(おかしくねーしSSまとめ) 

1作目(本作)→2作目3作目4作目番外編5作目6作目7作目完結編① or 完結編②

 本編でも描かれるクロチャーの「おもち」への飽くなき執念を描いた作品。「クロチャーが安価で選ばれた女の子を騙す→おもちを堪能→照に懲らしめられる→脱走」 という流れに寄って展開するコメディだが、その中で、密かに展開する物語が存在し、最後には感動(?)大作に。クロチャーは本当に愛されキャラだなと思い知らされるシリーズ。

 

 郁乃「末原ちゃん再生計画」(おかしくねーしSSまとめ) 

 厳密にはシリーズ物ではないが、ここではまとめて末原改造シリーズとする。SS初期にちょうど末原先輩が咲さんに「楽しまされて」カタカタ状態になっていたこともあって、代行に末原先輩が様々に改造される(ロボなど)SSを様々な作者が描かれてきた。現在でもたまに新作が投下されるなど、咲SS界における最長寿のシリーズといえるかもしれない。

 

咲「全国大会終わって暇だなぁ……」(エレファント速報) 

*1作目(本作)→2作目3作目4作目

 全国大会が終わって暇を持て余した嶺上畜生魔王こと咲さんが全国の高校を行脚して、全国の雀士を「楽しませる」ことで自分が「楽しもう」とするシリーズ。初期を代表するシリーズの一つで、咲×一ちゃんという新たなカップリングの可能性を切り開いた名作でもある。 

 

菫「いいだろう。なってやるよ、魔法少女!!」 (おかしくねーしSSまとめ) 

 *1作目(本作)→2作目

 現在進行形で進んでいるシリーズ物。「ロン(物理)」 以降、すっかり魔法少女好きという風評が拡大しているシャープシューター菫(SSS)さんが、本当に魔法少女になって世界に広がる「風潮被害」を食い止めるハートフルボッコ魔法少女物語。

 この物語の見所は、SSS対睾丸クラッシャーかすみんという咲SS界の怪物頂上対決と、淫獣ポジションでいい味をだしてる羊先輩。「なんもかんも政治が悪い...」

 

 

9.これぞ咲SS界の底力ー一話完結傑作シリーズ 

 長期連載物とは対照的に、一話で完結した傑作も多い。入り口としてはここらへんから入るのが無難であろし、言葉で説明するよりとりあえず読んでみてほしい作品群。

 

 洋榎「大阪デートや!」 初美「よろしくですよー」 (おかしくねーしSSまとめ 

 人気投票スレで見事一位に輝いた初期を代表する大傑作。愛宕ネキ×はっちゃんという本編にないカップリングを咲SS界を代表するカップリングにたった一作でしてしまった傑作。なにげない日常描写の中に織り込まれた伏線の妙と、二人の心の機微を丁寧に描いた大作。何度も何度も読み直したくなる作品である。 
 
 5歳になった末原先輩のはじめてのおつかいを描いた作品だが、恭子ちゃんがであう試練とそれに立ち向かう様子は本家を彷彿とさせ、ほろっとしてしまう暖かい作品。霞さんのナレーションの雰囲気が実に素晴らしい。
 
 
 最近の作品からは、こちらの大阪遠征物を紹介。全国決勝で淡に破れ能力を失った咲さんが、遠征を通じて本物の怪物になっていく様子を描いた作品。見所は部長の咲さんへの気遣い、姫松のメンツ、特に絹ちゃんと咲さんの交流、そして暗躍するあの人物。コメディタッチも交えつつ、全編を通じてヒリヒリした雰囲気に包まれた作品である。 
 
 
  タイトルを初めて見た時は永水日常系かと思うだろうが、読み進めて行くうちに重苦しい雰囲気の作品だとわかる一品。永水女子という神職一族を基盤とする世界に潜む闇に焦点をあてつつ、小蒔ちゃんのキャラの掘り下げに挑んだ作品。ただ、いじめ問題なども連想させるので、読む前に注意が必要。
 

 淡「ライバルは宮永咲」(えすえす)

 咲と淡という、咲世界を今後引っ張って行くであろう一年生二人の関係を本編に先駆けて描いた傑作。今のおちゃらけ「高校100年生」キャラが定着する前であったため、淡の天才としての孤独にテーマがあたっている。

 また、本作に影響をうけた傑作シリーズ、淡「陽に照らされて星は輝く」(おかしくねーしSSまとめ) (続編)と合わせて読むとなお良い。

 

10.咲SSが生み出した奇才達ーカンちゃん&ゲンツキ・ホーの人

 これまでジャンル別におすすめ作品を並べてきたが、基本匿名の作者からなる咲SS世界において、作者が特定された作品もあり、中でも代表する作家が以下にあげる二人(ゲンツキ・ホーの人&カンちゃんの人)である。

 そこで最後は咲SS界の奇才に焦点をあててみたい。

 

*ゲンツキ・ホーの人

 エイスリン 「ナマエ……ゲンツキ・ホー?」 和 「ホーwwww」 (デスクトップ2ch)

 名前の通り、ゲンツキ・ホーの人の代表作にして、あらゆる意味で真似出来ない(真似したくない)圧倒的な奇才っぷりを見せつけた怪作。理想を描き出すエイスリンの能力を、まさかこんな形でSSにしてしまうと誰が予想できたか。言葉で説明するよりもとりあえず読んでほしい。咲SS界を代表するコメディ。

 

・ 白望 「二者択一……?」(えすえすMode)

 おなじくゲンツキ・ホーの人による作品だが、こちらはどことなくサイコサスペンス風の作品。ただし、よく読んで行くと作者のぶっ飛んだ様が感じられ、「ああ、いわれてみればこりゃあゲンツキ・ホーの人だわ」と納得させられてしまう一品。宮守シリーズにおける最高峰な一作でもある。

 

霞「戦犯を決めましょう」(エレファント速報) 

 2回戦で敗退した後の永水女子の控え室でのやりとりを描いた作品で、人気投票2位に輝いた作品。日常物としてのほのぼのさとギスギス観の絶妙のバランスが売りで、ゲンツキ・ホーの人の底力を感じる作品である。また、永水のキャラ付け、関係性で後発作品に多大な影響を与えた作品としても高く評価できる(例えば最新の永水ギスギスもの)。

 

*カンちゃんの人 

透華「ハギヨシ、この男に種付けなさい」(えすえすMode)

*1作目(本作)→2作目3作目4作目番外編5作目6作目

 個人的に咲SS最大の傑作はカンちゃんシリーズだと思う。 6スレ相当という分量がありながら、伏線を張りつつ崩れない構成力。チャット→オフ会というテンプレを作り出したアイデア力。腐女子と百合と乙女という勢力図を巧みに使いつつ、それを結末で収束させる技術力。そして、「サッカーホモSSを披露する=本人確認」という斬新な個人特定などなど... カンちゃんシリーズが咲SSにもたらした影響力は計り知れない。

 とりあえずカンちゃんこと咲さんの圧倒的な腐女子力とその秘密をじっくり味わってほしい。文句なしの大傑作。

 

照「京ちゃん、カッコよくなったね」京太郎「えっ!?」(えすえす)

*1作目(本作)→2作目3作目

  カンちゃんの人のもう一つの傑作シリーズ。照と咲の宮永姉妹と京太郎(+タコス)の恋を描いた作品。ノリ自体はコメディタッチでありながら、物語の核心にずしりと重いテーマを据えるあたりは、カンちゃんシリーズと共通するといえる。このコメディとガチのバランスの良さがカンちゃんの人の最大の魅力であり、ゲンツキ・ホーの人の懐の広さと並んで、咲SS界の奇才たる所以である。

 

 

まとめ

 本記事では咲SSのおすすめ作品をジャンル別に紹介してきた訳であるが、ジャンルの制約故にここでは紹介出来なかった作品の中にも良作・怪作はまだまだ多く存在する。それに咲SSの世界は本編が徐々にクライマックスに近づいてきていることもあり、むしろこれから更に面白くなって行くことが期待される世界なのである。

 この記事をきっかけに咲SSにハマったという人は、ぜひ、以下の咲中心のSSまとめサイトを巡回して、自分にあったSSを見つけてほしい。もっといえば、2chでSS書いたり、安価に参加したり、自分のサイトで自分なりのおすすめ作品を紹介してほしい。その全てのプロセスを含めて、この世界の面白いさが成り立っているのだから。

 

・おかしくねーしSSまとめ

 咲SS中心のSSまとめサイトの中で最も読みやすい。時間があるなら、とりあえずここの過去ログを片っ端から読むのが一番。

 ・えすえすMode

 おかしくねーしで大体の良SSを読めるが、いくつか取りこぼしがあるので、補完用にぴったり。

・エレファント速報

 SS大手。咲以外のSSも多いが、それゆえに安定感はある。

・えすえす

 リーダビリティに劣る面もあるが、マイナーな作品を拾ってくれるので上級者におすすめ。

・百合チャンネル

 百合SSまとめの大手。こちらもおかしくねーしの取りこぼしを拾う用。

 

 また、SSを楽しんだ後には、原作やアニメをみるとまた新たな発見があって面白い。Kindle版を初めとして電子書籍も発売されているので、この世界の豊穣さを味わった後には咲日和もあわせて「聖書」にも触れてもらえれば幸いである。Kindle版はこんな感じで見開きが奇麗ですばらである。

 

咲ーSakiー 1 (ヤングガンガンコミックス)

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咲-saki- BD-BOX (通常版) [Blu-ray]

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 それにしても、1万3千字もかけて紹介記事をかくとか、どうみても咲という宗教への勧誘記事としか言いようがないなw でもそれだけの魅力がある世界に成長しているし、二次創作的Shared worldの拡がりの最先端に位置する作品なのは間違いない。

 今後は、この世界の構造について解説記事も書こうと思うので、気長にお待ちください。もしかしたら、冬コミのコピー本として頒布することになるかもしれません...(あくまで予定は未定)

 

*咲SS記事最新版

最近の咲SSの流行 ー怜竜の関係性の逆転傾向からみる咲SS回の新たなサイクル- - レスター伯の限界(2013年)

『咲-Saki-全国編』の放送開始と咲SSの新たなサイクル(2014年1月版) - レスター伯の限界

 

*追記:SS読むのにぴったりなデバイスとしてのiPadmini

 SSを読むさいには、「RSSPocket(旧Read It Later)」というプロセスを確定することで、オフラインでも読めるような体制にしていますが、発売されたばかりのiPadminiは非常に使い勝手がいい。7インチタブレットの使い道としても、SSは最適なコンテンツです。

iPad mini 16GB Wi-Fiモデル ブラック&スレート MD528J/A

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*追記の追記:麻雀覚えたい人にも咲はおすすめ

 咲を読んでいると麻雀を打ちたくなるし、最近はもっぱら友人達と麻雀を打つのが週末の楽しみになって来た。今の時代はテンパイも教えてくれるし、点数計算もしてくれるし、なによりボッチでもうてるネトマが便利だが、 それでも役は最低限覚えておきたいし、出来たら点数計算も出来るようになりたい。

 そんな人のために、咲のファンブック『咲-Saki- ラブじゃん マホちゃんの必殺技完成!』がおすすめ。単なるファンブックに留まらず、役、点数計算、マナー、簡単な牌効率など、初心者レベルには十分に使える本になっている。

 

咲-Saki- ラブじゃん マホちゃんの必殺技完成! (Guide book)

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