レスター伯の限界

気付いたらVtuberになってた

にじさんじ甲子園を大成功に導いた男達の軌跡 ー舞元啓介と天開司:おじさんVtuber達が積み上げてきた物語ー

今年の夏も忘れられない夏になったね...(挨拶)


【#にじさんじ甲子園】にじさんじ甲子園 決勝【パワプロ2020】

 

2020/8/14〜16にかけて行われたにじさんじ甲子園が大盛況の内に幕を閉じました。先週の記事では各校の栄冠ナインのまとめと本番の予想について取り上げましたが、予想の方は外れちゃいましたね。ヘル高の守備が鍵とか、やっぱりキャッチャーAが強かったとか、要所要所は当たってたと思うし、良い意味で期待を超える戦いが見れたので何も言うことはないのですが。

結果については、僕がここで取り上げなくても実際の試合の動画を見てもらった方が速いですし、公式でも熱狂にじさんじ甲子園という形で解説付きでダイジェストがつくられていますのでそちらをご覧下さい。それにTwitterで「#にじさんじ甲子園」タグで検索すると参加した監督や選手(ライバー)、そして熱狂した観客の熱いコメントを見ることができます。


【にじさんじ甲子園】熱狂にじさんじ甲子園 1日目【パワプロ2020】


【にじさんじ甲子園】熱狂にじさんじ甲子園 2日目【パワプロ2020】

 

個人的にはこういう大会だと運ゲーマーズしぃしぃがやっぱり最強だったとか、でろーんの栄冠に続く男泣きとか、最後に一勝を勝ちとった流星とか、ヘル高の夜見さすがやとか、推しのシャプ学は二期生を中心に最後まで全員野球で魅せてくれたとか、見所は本当にたくさんありました。

その他にも、優勝したにじ高の四番筋肉同盟ことめいろちゃん、最後に猛打賞で流星の一勝の立役者になったきらめちゃん、そしてデビューしたばかりの5人も見せ場を作るなど、本当に全員参加の大会だったなと。個人的には代打で出てきたなちゅめが活躍したのが嬉しかったですね。なちゅめについてはカルちゃん共々近々取り上げたい...

 

さて、この記事ではそんな大会の内容よりも、大会の背景にある物語について語ってみたいと思います。何度か語っているように、僕は去年のVtuber甲子園をきっかけにVのセカイにどっぷりハマった人間です。それから一年間、今大会主催の舞元啓介(おじおじ)をずっと追ってきました。今大会はそんなおじおじの濃厚な1年間、もっと言えばデビューからの2年間の軌跡がびっしり詰まった大会でした。

そして、今大会はアンバサダー・実況という形で大会を支えてくれた天開司。彼とおじおじの関係性もまたこの大会を語る上では欠かせない要素です。ふたりのおっさんVtuberとその仲間達の軌跡こそが、最大19万人が集まったにじさんじ甲子園という化け物企画を産み出したのだということ感じてもらえたら幸いです。

 

 

1.パワクズ〜Vtuber甲子園が産み出したフォーマットの強さ

栄冠ナインのまとめ記事でも触れましたが、今大会のフォーマットは2019年に天開司が主催したパワクズ〜Vtuber甲子園で産み出されたフォーマットです。ライバーをドラフトで獲得し、獲得したライバーの名前が付けられた選手を栄冠ナインで育成し、大会で競わせる。このフォーマットは極めて優れたものです。 

 

前の記事ではキャラクターをメタ化することで既存のキャラ付けと新たなキャラ付けが科学反応を起こすというふうに書きましたが、それに加えてもう一点優秀なところは、このフォーマットは誰にでも真似が出来るという点です。

特に何らかの名前を付けてパワプロをやるというのは10年強前のニコニコ時代からありました(例えば僕もかつて活動していたニコマスでのアイマスプロ野球とか)もっと言えば、子どもの頃にも似たようなことはみんなしていたのではないでしょうか。

 

そう、誰にでも別に真似が出来るのです。僕自身がそうですが、実際に今回パワプロを買って栄冠ナインをプレーした人は少なくないでしょう。それにこれから同様の企画で盛り上がることもあるはずです。アンバサダーの天開司自身も我慢できなくなってやってますし、公式でもA対Bのオールスターやりたいという言葉もありました。

 

ただ、誰でも真似できるけど、ここまでの熱狂を誰しもが巻き起こせるかといえば違うと思います。もちろん、にじさんじという100人を超えるライバーが所属する人気の箱で行ったことが、今回の大成功の鍵であったことは確かです。でも、にじさんじの他のライバーが主催をやった場合に、「 100人のライバーが参加してみんなが熱狂する大会になったのか?」とか、 「コナミが全面協力をしてくれだろうか? 」といわれると違うと思います。

にじさんじ甲子園が盛り上がったのは、この優れたフォーマットに見合うだけのものをおじおじが積み上げてきたからこそでしょう。そんな積み上げてきたものの凄みが随所に感じられたからこそ、僕のようなずっと見てきた加齢衆(舞元リスナーの呼び名)はもちろん、普段は殆ど見ないんだけどなんか見てみるかという一見さん(奇しくもラジオ「舞元力一」のリスナーの呼び名)も熱狂できたのだと思います。

そこににじさんじという箱の中で積み上げられてきた歴史が重なることで、同接19万人というにじさんじ史上最大の熱狂が生まれたのだと思います。

 

 

2.舞元啓介がこの一年間に積み上げてきた配信スタイル

去年、Vtuber甲子園を見たときに、僕が凄いと思ったのは「舞スバに逃げはない」という言葉でした。

 

何も知らない状態でVtuber甲子園を見たときに、農家のおっさんとJKがこの言葉で通じ合ってるのをみて、「なんかすげーものがあるぞ」と感じたのが昨夏。大会後に、アーカイブを追って2人の物語を知った後に改めて聞くと、「舞スバに逃げはない」が象徴していたのは、盟友スバルとともにがむしゃらに地獄企画を駆け抜けてきた、最初の一年の苦闘だったんだと分かる様になりました。

あれから一年、おじおじは相変わらず地獄企画にも積極的にチャレンジしてきたし、その結果、風俗失敗談やユメグラ体験動画などVtuberの(普通はいかない方向の)地平線を切り開いてきました。


【祝】新成人に贈る風俗失敗談【新成人】 待機所切り抜き


【ユメノグラフィア】Q.魔法のような新体験とは【にじさんじ】

 

その一方で、この一年の間におじおじは確実にエンターテイナーとして進歩したと思います。常日頃から「エンタメに昇華出来ないと思ったらやらない」といっているおじおじ。3D配信で披露したプロレスが大好きで、ただ「凄い事をやる」のではなく、「リスナーが凄いと感じる事」、「面白いと感じる事」を提供することを意識する。そんな意識を常に持ちながら、リスナーと一緒に試行錯誤しながら様々な配信スタイルを模索してきた姿をこの一年間ずっと見てきました。

リスナーと一緒になって配信を作り上げる麺屋舞元が一つのきっかけになり、「こんな配信がしたかった」という名言が誕生したラグビーW杯実況、そしてVtuber甲子園をきっかけに始まったマイライフとサクサクセスによるライバー選手作り。これらの配信を通じて、リスナーと一緒に楽しむための術を身につけていったおじおじ。

実際にVtuber甲子園直後には3000人もいれば多かった同接は、ラグビーW杯で1万人、サクサクセス・マイライフでは2万人程度まで上昇し、今やにじさんじ男性ライバーでは屈指の人気配信者までのし上がってきました。

「やきうの時間だああああああ」、「痙攣してきた」などのお決まりのコメントで盛り上がるのもマイライフやサクサクセス配信のいいところで、本大会でもみんなもりあがってましたね。また、大会本戦では、コメ欄でクレアさんがにじ農のポテトやビールを売り子したり、お嬢が半沢直樹を普及したりして盛り上がってましたが、あれもマイライフで小夜ちゃんがビール売り子ボイスをおじおじに投げつけた流れの中にあるんですよね。

*訂正:「やきうの時間だああああああ」に関しては元々あった言葉という指摘があり、その通りです。楽しくみんなで使っているという意味で書こうとして「ここから生まれたって」書いてしまったので、訂正しておきました。


【9万人記念】麺屋舞元 視聴者ラーメン選手権スペシャル【飯テロ】


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【実況パワフルプロ野球】サクサクセスでにじさんじライバー作るんじゃい!!【にじさんじ】

 

そんな常時1万〜2万人近くのリスナーを集めるようになったおじおじの凄さが可視化されたのが4月の「にじさんじ麻雀王決定戦」でした。Yostarに自ら企画を提出し、40名以上の参加者が集まった大会は大成功。普段から麻雀をやっていたライバーにくわえて、この大会をきっかけに麻雀を始めたライバーも多く参加し、2日間に渡って開催された大会には常時6〜7万人の視聴者があつまりました。

この大会の決勝が経験者剣持対初心者グウェルになったり、大会をきっかけに麻雀を始めて今では公式番組に参加するようになった郡道先生の存在が象徴しているように、ライバーのセカイに少しずつ浸透し始めていた麻雀人気を爆発させる起爆剤になりました。まさしくVtuber甲子園以降に積み上げてきたものが爆発した瞬間でした。


【雀魂】にじさんじ最強雀士決定戦実況解説枠 予選A~E【#にじさんじ最強雀士決定戦】


郡道美玲の麻雀ハイスクール一時限目 【 #じゃんハイ 】

 

この麻雀大会の大成功は、おじおじがこの一年で理想的な男性ライバーのサクセスロードを歩いてきたことを象徴していたといえます。ただ、この時に一つだけ欠けていたものもありました。

それこそが、にじさんじ甲子園のアンバサダーであり、Vtuber甲子園主催の天開司の存在です。

 

3.おもしろいを形にするおっさん達の軌跡

去年Vtuber甲子園を主催した後、にじさんじ剣盾杯を主催し大成功に導いた天開司。彼はにじさんじネットワークという形で外部からにじさんじと連携して、大型大会の立役者として名を馳せていました。しかし、年末のネットワークからの離脱によって、個人勢としてにじさんじの大型企画からは離れざるをえなくなりました。

実際に麻雀王決定戦開催に当たっても司の支援を前提に考えていたおじおじ。「見通しが甘い」という謝罪会見をすることになるなど、大会自体は面白くて成功した裏で仕切り自体にはかなり甘いところもありました。もちろん、解説陣エキシビジョンを通じて、それ自体をエンタメに昇華させたのはさすがだったし、その結果伝説のハカ・ケチャ配信が生まれたわけですが...


ポケットモンスターソードシールド にじさんじ杯 第1部【#剣盾にじさんじ杯】


【雀魂】仁義なき実況解説卓 エキシビジョンマッチ【エキシビジョンマッチ】

 

そんなおじおじがVtuber甲子園を引き継いでにじさんじ甲子園を開催するに当たって、一番考えたのは司の存在だったのではないでしょうか。今度こそは司も巻き込んで開催する。自分の飛躍のきっかけになったVtuber甲子園をもう一度、更にスケールアップして開催するにはVのセカイを代表する名主催者である司の存在が不可欠である。そしてなによりも司と一緒に楽しみたい。そんな思いが随所に感じられました。

この2人は去年のVtuber甲子園はもちろん、昨夏のリアル甲子園決勝戦の同時視聴を行ったり、Banトーーク!でプロ野球トークをしたり野球好きで繋がる野球系Vtuberの盟友です。


【同時視聴】甲子園決勝 履正社×星稜をみんなで観ようinいちから【甲子園】


BANトーーク! #プロ野球開幕嬉しいVtuber【天開司/舞元啓介/コーサカ/楓山蓮太郎/カナメ】

 

もっといえばこの一年のこの2人を語る上で欠かせないのがV呑み。力ちゃんやベルおじ、MZMのコーサカやあっくん、タマキンにマスター、最協決定戦でMVPの活躍をしたゴリラさんなど、事務所の枠を超えて、楽しいを追求するおっさんたち。バーチャルでやってるのが飲み会やトークかよというツッコミがあるかも知れませんが、Vであればおっさん達でも多くの人を惹きつけることが出来るということを証明してきた、ある意味でのVtuberの一つの可能性を切り開いてきた人たちです。

そしてそんなおっさんたちの人気コンテンツの一つが、ドラフト企画。マンガや揚げ物、エロマンガ家にAV女優、果ては動物園まで、何でもドラフトの対象にしてワイワイ盛り上がる企画に昇華したおっさん達。そうです、ドラフトしてリスナー含めて盛り上がるスタイルはここでずっと培われてきたものなんです。


【#V呑み】おっさんV居酒屋(バーチャルなら集まれる)【にじさんじ/BANs/MZM/VEEMusic】


【緊急特番】第二回 とある男達のドラフト会議

 

そんな一年間一緒に楽しんできたおっさん達の代表として、舞元啓介と天開司の2人は今度こそ一緒になってにじさんじ甲子園を成功に導きました。試合の時はもちろん、熱狂にじさんじ甲子園で本当に楽しそうに野球について語る2人の姿は本当にエモい。もっと言えば、熱狂にじさんじ甲子園の相席食堂スタイルもユメグラ動画のスタイルの成功のたまものだから、ここにも歴史の積み重ねがありました。ただ、主催の負担に加えて、司と楽しみすぎた結果が優勝出来なかった原因の一つだとは思います。采配に去年のキレがなかった。

いずれにせよ、僕も同じような世代であり、同じように甲子園やプロ野球を見てきたからこそ分かる2人の野球に対する熱。おっさんが楽しそうにすることがコンテンツとしてこんなにも凄い物になるのだ、若いライバーやリスナーも惹きつけて熱狂させることが出来るんだということを見せつけてくれたのが今回のにじさんじ甲子園なんです。


【にじさんじ甲子園】熱狂にじさんじ甲子園 1日目【パワプロ2020】

 

 

4.積み上げてきた物語の強さと終わらないにじさんじの夏

以上の様に、にじさんじ甲子園の背景には、おじおじ、そして司を初めとするおっさんライバーたちが積み上げてきた物語がありました。ひなPのこのエモいツイートが表現してるように、得も言われぬエモさを感じた加齢衆も僕を含めて多かったんじゃないでしょうか。

 

個人的には小川一水さんの『天冥の標』を思い出しました。これまで作家として培ってきた全てをつぎ込んで紡がれた10年に渡る大河SF。それと同じような、歴史の積み上げが産み出すエンターテインメントの強さを見せつけられた気がします。 

  

満を持して主催に回ったにじさんじ甲子園で、この一年で積み上げてきた全てを詰め込んで大成功に導いたおじおじ。社長の3Dも凄かったし、エクスもらしさを見せてくれたし、にじさんじ男性ライバーの躍進はすざましい物がありますが、そんな中で19万人を超える過去最大の同接を集めたおじおじ。1年目には遅れてきたルーキーとしてデビューしたSEEDs2期生の大輪の花が、こんな形で咲き誇る姿を見れて本当に感無量です。

 

そして、SEEDs2期生といえばもう一人。この熱すぎるにじさんじの夏のバトンをおじおじから引き継いで、今週末に大きなお祭りを主催するライバーがいます。先週末から遂に開封されたHFのメインヒロインとともに、季節外れの桜を満開に咲かせ、今年も多くのライバーに美しい花火を見せてくれるはず。

2020/8/22の20時、りつきんが主催するマイクラ夏祭り、みんなで今年もあの綺麗な花火を見に行きましょう。こちらも去年以上のスケールで、ライバーとリスナーに忘れられない夏を刻み込んでくれるはずです。