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レスター伯の限界

なんもかんも政治が悪い......

アルバム『2B PENCILS』が証明する『神のみぞ知るセカイ』の底力

アニメ 漫画 音楽 神のみ

 みなさんは『神のみぞ知るセカイ』の作中に登場するバンド、「2B PENCILS」をご存じだろうか? 

 

 ちひろ(Vo & Gt)、歩美(Gt)、結(Dr)、京(Ky)、エルシー(Ba)という5人の女子高生(若干一名アクマが混じっているが)によって結成されたバンドは、「女神編」のクライマックスに文化祭(舞高祭)ので初めてのステージを経験する。その際に歌われた『初めて恋をした記憶』は、漫画・アニメともに最高の演出がなされただけでなく、ちひろの心情をこれ以上無い形で表現し、『神のみ』という作品が至高の作品であることを確かなものにした。

 

ちひろの恋と桂馬が作る物語—アニメ『神のみぞ知るセカイ』女神編最終回に寄せて— - レスター伯の限界 

 

 そんな2B PENCILSのアルバム『2B PENCILS』が今回発売された。クライマックスのシーンを彩ったバンド2B PENCILS初のアルバムは、あの感動シーンを音楽的にいかに表現するのかという意味で非常に高いハードルを抱えていたが、その難題を軽くこえる素晴らしい一枚であった。そこで、以下では『2B PENCILS』のレビューをしつつ、2B PENCILSというバンドから『神のみぞ知るセカイ』という作品の底力について語ってみたい。

 

・サウンド的な面白さ

 まず、一枚のアルバムとして、サウンド的にどこが面白いのかについて。

 全体を通して、2000年代の前半あたりのギター・ロックサウンド、特に下北系とか、その延長線上にあるバンドの音に非常に近いものがあって、僕みたいなアラサーロック好きにはたまらないものがある。具体的に名前をあげるなら、たぶんチャット・モンチーを連想する人も多いんじゃないだろうか。 

耳鳴り

耳鳴り

 

 

 2B PENCILSのサウンドは、同じ女子高生バンドである『けいおん!』のHTT(HHTはガールズ・バンド的なツボの抑え方がさすがだった)と比べると、より玄人的な演奏で力強さが目立つなど、「これ初心者のバンドじゃねえだろ」感は非常に強い。ただし、それこそが2B PENCILSの作中における立ち位置を象徴いいのである。

 2B PENCILSの編成は、なかに女神が入った2人(歩美、結)、アクマ(エルシー)に、普通の女子高生2人(ちひろ、京)から結成されている。つまり、半分以上はただの女子高生ではない、ある意味で異形によるバンドなのである。

 実際に聞いていくと、特に結のドラムのパワフルさと、玄人好みするソロが目立つと思うが、結は女神編において「男の子」として桂馬を攻略仕様とするキャラだし、元々吹奏楽部の天才パーカッショニストである。つまり、元々力強さ(結)や爆発力(歩美)が持ち味のメンバーが多く、そこに女神ブーストがかかるならば、これくらいのサウンドを鳴らしたとしてもおかしくない。そう思えるくらい、作中でキャラの魅力を描いており、作中でのキャラ描写の積み上げをサウンドに反映させている。

 *なので可能であれば、デカイスピーカーに爆音で聞いて見て欲しい。その方が圧倒的にこのサウンドの魅力が感じられる。

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  また、だからこそ、リーダーであり、バンドの発起人であり、女神編の真ヒロインともいうべき「普通の女子高生」であるちひろの明るさと繊細さの二面性が際立っている。超高校生的なキャラとサウンドに支えられることを踏まえた上で、ちひろの『初めて恋をした記憶』(これは初めて聞いたときにTHGEを思い出した。マジ、結のドラムヤバい)を聞き直して欲しい。サウンド的にも更にガツンとくるはずである。 

 

・アルバムの構成から見えてくる2B PENCILSというバンドの魅力

 アルバム『2B PENCILS』は、前半が既存のキャラソンのバンドアレンジ、後半が2B PENCILSのオリジナル・バンド曲という構成になっている。結成半年足らずのバンドなので、まあ、オリジナル曲は多くないだろうし、曲の並びをみたときにも、こんなもんじゃないかなと思う程度であった。

 

 しかし、実際に聞き込んでいくと、前半のキャラソンのバンドカバーの出来が本当に素晴らしいのである。ある意味でバンドメンバーが「こういうキャラですよ」という紹介を演奏を通して行ってる訳だが、こちらのアレンジが本当に大胆で、バンドの力を見せつける内容になっている。

 歌詞はどことなく(作中のアイドルかのんちゃん同様に)80年代アイドル・ソングをどことなく思わせる、アニメのキャラソンだけど、その後ろでなってるサウンドは明らかにロック。しかも、どことなくグランジ的な臭いがしてて、このギャップがたまらんのである。特に結の『Heart Beatにご用心!』は、そのタイトルからしてぶっ飛んでるが、結のパワフルなドラムとボーカルに圧倒されっぱなしである。

*しかし、現在のアニメ界において、あやひー(高垣彩陽)の歌声を抑えることがいかに重要かということを思い知らされるばかりである。ソニー系列だし、いしわたり淳治プロデュースであやひーボーカルのロックアルバム作ってくれねえかなあ。 

神のみキャラCD.10

神のみキャラCD.10

 

 

 もう一点、前半の曲から感じられることとして抑えておくべきことなのは、京の存在である。京は攻略対象のヒロインでも、お助けアクマでもない、いわばただのモブである。その一方で他のメンバーの親友として、彼女たちをサポートし、女神編のでも随所に非常にいい仕事をしている(桂馬に「もう遅いからな」と言わせる程度に凄い)実際に2B PENCILSの衣装は京作である。

 そんな京は2B PENCILSにおいても、キーボードとしてテクニカルでパワフルな曲を成り立たせるために欠かせない演奏を披露している。『Heart Beatにご用心!』のキーボードとか、京がこのバンドの裏主人公であることを証明している。また、実はバンドにおけるバックコーラスは実は京が務めており、本当に京様なしに2B PENCILSはありえないのである。

 

  それに対して後半は、ボーカルを交代で務めるという点では前半と同じだが、サウンドとしては明らかにバンドとしての一体感を感じさせる内容になっている。発起人であり、バンドの方向性を決めるちひろの本領発揮である。

  シングル版の『初めて恋をした記憶』のカップリングである『キャッチ・ザ・レインボー』で「普通の女子高生」の最強感を明るく表現した上で、そこから桂馬に恋する女の子達の熱い想いをバンドとしてたたみかけてくる。歩美がボーカルを務める『No.1』での呼びかけとか、まさしく女子高生バンドのステージ感があってたまらん。『No.1』は歌詞の内容もあって、歩美とちひろという二人を核にする2B PEINCILSのテーマ曲にふさわしい。

 こうした曲達が歌い上げられた後の『初めて恋をした記憶』なのである。『初めて恋をした記憶』はこれ以上無く女神編のちひろのための曲だけど、やっぱり2B PENCILS、そして特別ゲストを務めたかのんちゃんという、「平凡な乙女の無敵な青春」を体現する名曲なのであるということを思い出させてくれる。

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 その上で、シークレットトラックには『初めて恋のした記憶(TV EDIT)』が収録されている。音が途切れた後、「淡く愛しい日々」とかすれるように歌い上げるアニメ12話のちひろを思い出してやはり涙するのである...

 あと、ちひろを演じた阿澄佳奈に触れないわけにはいかないだろう。正直、これまで阿澄佳奈はラジオは好きだけど、CVとして「これだ!」と感じることはなかった。ちひろも正直最初は不安の方が多かった。でも、ちひろの強気と繊細さを兼ね備えた感じを絶妙に表現する演技を見たときに、本当によかったと思った。このアルバムでも、TV EDITのあの歌声は、本当に代替のしようのないすばらしさだった。

 

 それ以外にも、このアルバムは全員で一挙に演奏し、しかも2日間に凝縮して収録する形式だったそうである。言われてみると納得するしかないし、結果的に凝縮されたアルバムができることに繋がっていると思う。

2B PENCILSのフルアルバム!|eyelisオフィシャルブログ Powered by Ameba

 

 また、アルバムも細かく見ていくと、ちゃんとケースに鉛筆があしらわれていたり、初回特典はピックが付いていたりと、2B PENCILSというバンドの魅力が細かいところまで表現されている。ピックに関しては、1枚は「2B PENCILS」と刻印されている一方で、もう1枚はいわば普通のデザインである。女神編本編におけるピックの意味を思い浮かべると、この2枚が添えられている意味がより深く感じられるのではないだろうか。

http://instagram.com/p/h3CW6vBKJ9/

 

 

  毎回作り込まれたOP・ED、新人だった東山奈央とともにアイドルとして成長していくかのんちゃんの曲などキャラソン、アニメを彩るBGMと、元々『神のみ』は音楽が素晴らしい作品である。 そんな作品が産み出した無敵のバンド2B PENCILSのアルバムが、こんなにも心を打つ内容に仕上がっていたことは本当にファンとして幸せだし、『神のみぞ知るセカイ』という作品がもつ底力を感じさせてくれた。

 作品のファンは当然マストだし、そうでない人にも届くクオリティの一枚になっているので、是非聴いて、『神のみ』という作品と2B PENCILSというバンドに魅了されて欲しい。

 

God only knows -Secrets of the Goddess-

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