レスター伯の限界

気付いたらVtuberになってた

「ゆかい食堂」を楽しみながら、食文化の歴史も学んでみよう

 くらふとさんのグルメレポ漫画「ゆかい食堂」シリーズ面白いですよね(挨拶)

個人的には熟成肉食いに行きたいです。

ゆかい食堂 - ギャラリークラフト

  堂島の熟成肉のお店で「肉屋のステーキDON!!」を食べる - ギャラリークラフト

 

 サークル敷居亭の夏コミの打ち上げで、僕が超絶プッシュしてる箕面の海鮮居酒屋「ほっこり」に行った際のレポ漫画から火が付いたシリーズだったり(自慢)。「ワシが育てた」かどうかはともかくとして、僕も伯Q(咲のふなQの容姿でキャラクター化)として準レギュラー的に登場してたりで、敷居亭のメンバーの杉浦茂風キャラクターがみんな特徴掴んでてそこもポイントですね。

 

箕面の山中にこんな名店が!海鮮居酒屋「ほっこり」に行ってきました - ギャラリークラフト

海鮮あぶり料理「ほっこり」

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くらふとさんのイラストによる敷居亭の面々(誰が誰かわかるかな?)

 

 どうやら近日中になんか発表もあるっぽい「ゆかい食堂」シリーズですが、作者のくらふとさん(敷居亭のイラストでいつもお世話になってる方です)から次のようなツイートが。

 

 

 これは以前、くらふとさんをはじめ、色々な人に薦めたら好評だった『肉食の思想』じゃないですか。僕も一応西洋史の研究者(博論だしたのも西洋史の研究)なので、西洋史関連なら色々とお薦め出来るなと思い、twitterでも何冊か紹介しておきました。

 

 でも、それだけだと流れちゃうのがもったいないし、それなりにふぁぼってもらったりもしたので、改めてこのブログで数冊紹介したいなと思います。

 

 まずはこちらから。

肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公新書 (92))

肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公新書 (92))

 

  くらふとさんのツイートにもある、鯖田先生の『肉食の思想』

 ヨーロッパにおける「肉食」のルーツにせまりつつ、「肉食とは何か?」ということを単純に歴史的に紐解いていくだけでなく、ヨーロッパの様々な文化(宗教や身分制なども)と食分化の関係性、アジアとヨーロッパの食文化の比較など、非常に射程の広い一冊となっています。

 僕は三回生の時に、研究室の読書会で読んで以来、何かある度に人に勧めている本です。ヨーロッパ文化史について食の視点から迫った傑作です。

 

 続いて、ティータイムの文化を語る上で欠かせない二冊。 

茶の世界史―緑茶の文化と紅茶の社会 (中公新書 (596))

茶の世界史―緑茶の文化と紅茶の社会 (中公新書 (596))

 

 

砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)

砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)

 

 僕が専門にしているイギリス史研究者なら、必ず読んでいるであろうこの二冊。「料理がまずい」でおなじみのイギリスですが、逆にティータイムは世界的にも有名ですよね。そのティータイムの文化がなぜイギリスで発展したのか考える上で、お茶と砂糖の物流の歴史は無視できません。

 近代に7つの海を股にかける大英帝国を築き上げたイギリスの歴史について、お茶と砂糖に焦点を当てながら、経済史的視点、生活史的視点から描いた名著2冊。併せて読むと、ヨーロッパの食文化だけでなく、近代ヨーロッパ史を掴む手がかりにいい本です。

 もっといえば、お茶の供給地であるアジア(中国、インド)、砂糖の供給地であるアメリカ、なんかも視野に入ったグローバルな歴史を体感するにももってこいの入門書であります。資本主義の歴史を掴むのにもいいですね。

 

 生活史という視点からみれば、コーヒー・ハウス併せて読むと、なお良しですね。

コーヒー・ハウス (講談社学術文庫)

コーヒー・ハウス (講談社学術文庫)

 

  また、食文化からみる近代ヨーロッパといえばこちらもおすすめです。

ヨーロッパの舌はどう変わったか―十九世紀食卓革命 (講談社選書メチエ)

ヨーロッパの舌はどう変わったか―十九世紀食卓革命 (講談社選書メチエ)

 

 

 あと、イギリス料理については、こちらの本の中のイギリス料理の章で、社会・経済史的にみたイギリス料理衰退の歴史について書かれてあるので、興味がある方は必読です。 

イギリス文化史

イギリス文化史

 

 

 

 もっと長いスパンで観ると、「ジャガイモ」がもったインパクトも忘れてはいけません。

ジャガイモのきた道―文明・飢饉・戦争 (岩波新書)

ジャガイモのきた道―文明・飢饉・戦争 (岩波新書)

 

  アイルランドなんかでは不作になると、色々と社会情勢があやしくなるくらい、近代ヨーロッパにおける労働者の栄養を支えてきたジャガイモ。芋の歴史は、農業や食文化の歴史の最も重要な部分でもあるので、抑えておきたいですね。

 

 以上は自分が講義をするときに使ったりもしてるのですが、一方で、日本についてはあんまり詳しくありません。昔から料理漫画は好きで一杯読んでますが、最近は『もやしもん』とか『銀の匙』とか、食や農業をテーマにした漫画もありますし、そちらで読んでいくのがいいかもしれません。あと、日本はもっと詳しい人がいると思いますので、誰かまとめてください(他力本願)

 ただ、個人的には発酵食品大好き人間なので、小泉武夫は欠かせませんね。

 

くさいはうまい (文春文庫)

くさいはうまい (文春文庫)

 
食と日本人の知恵 (岩波現代文庫―社会)

食と日本人の知恵 (岩波現代文庫―社会)

 
発酵―ミクロの巨人たちの神秘 (中公新書)

発酵―ミクロの巨人たちの神秘 (中公新書)

 

 

 こんな感じで、くらふとさんのグルメレポを楽しみながら、おいしいものを食べに行きつつ、ついでに食文化について軽くお勉強するのはどうでしょうか。 

 ビールとか酒の歴史もまとめたいけど、それはまた別の機会に。

 

秋の夜長にビールを飲もう ―海外ビールのすすめ― - レスター伯の躁鬱

今年のクリスマスは咲の日(近況報告)

 リアルの方が一区切りしました(訳:博論提出した)

 

 いや、まだ諮問とか色々と残ってるんですけど、とりあえず一区切り付いたので、だいぶ気持ちが軽やかになりました。仕事の方も年度末にかけて激動になりそうだけど、精神的にはでかい宿題が一つ終わった気分なので気が楽です(慢心)

 

 とりあえず、当分はまったりBBCPやったり、閃の軌跡やったり、嫁(くまりんこ)のプラモ作ったりしたいと思います。

 

BLAZBLUE CHRONOPHANTASMA

BLAZBLUE CHRONOPHANTASMA

 

 

英雄伝説 閃の軌跡 (通常版)

英雄伝説 閃の軌跡 (通常版)

 

 

1/700 ウォーターラインシリーズ No.342 日本海軍 重巡洋艦 三隈 31342

1/700 ウォーターラインシリーズ No.342 日本海軍 重巡洋艦 三隈 31342

 

  

 これでブログで書いたり、次の同人誌何作ろうかなあと考えたり、少し余裕が出来るかなと思います。今年の冬コミはサークル敷居亭も、チームiPS敷居亭支部も、何も動いてないので行かない予定です。ただ、個人としては近いうちに小さい告知があるかもしれません。

 

 最近はブログ書かない代わりに、咲関連の発売日(ヤンガン、BG)とか、映画見たときとかに、さっすまとまったり感想UST(with 今日の艦これ)やってたりします。TLで見かけたときは、まったり聞きにきてくれるとうれしいなって。WebCamも新調したので、プラモ配信とかもしてみたい。

 

 とりあえず、今後はもう少しブログ更新しつつ、色々と動いていきたいと思います。

 

 あっ、今年のクリスマスはガッツリ咲な日なので楽しみですね^^

 『シノハユ』はお世辞抜きに超弩級の面白さなので、まだ読んでないという人、咲知らないぜって人も、ぜひ一巻を手にとってくださいね。大傑作の予感がぷんぷんです。

 「慕ちゃん、マジ天使」をこえて、「慕ちゃん、マジ弥勒」

 

 

 

咲日和 (3) (ビッグガンガンコミックス)

咲日和 (3) (ビッグガンガンコミックス)

 

 

*追記:12/22(日)のシーサイドコミュニケーションズのイベントで東京に行く予定にしております。生洲崎西楽しみすぎる。

 ということで、今年はコミケの前に東京に遊びに行きます。

SEASIDE LIVE FES2013 

【通常盤】洲崎西 DJCD vol.1 - シーサイドSHOP~シーサイド・コミュニケーションズのネットショップ 

 

**追記2:リハビリで作った暁。楽勝だと思ったけど、パーツ小さすぎて苦戦した...

 くまりんこはもっと本気出す。

http://instagram.com/p/hgVoiwBKGu/

暁できた

神のみUSTのお知らせ

 アニメ女神編も最終回を迎え、ここ一週間ずっと揺さぶられた方も多くいたのではないでしょうか。そんな中、女神編を中心にした神のみUSTをやりたいと思います。詳細は以下の通り。

 

 日時:10月4日(金)夜10時から2時間程度(予定)

 参加者:レスター伯、敷居さっすま

 放送URL:http://www.ustream.tv/channel/leicesterp

 

 とりあえずちひろの話が殆どになっちゃうと思いますが、僕は女神編の話に加えて、こないだの記事でも書いた神のみの構造や、過去編を含めた話を出来たらと思っています。よろしくお願いします。

 

ちひろの恋と桂馬が作る物語—アニメ『神のみぞ知るセカイ』女神編最終回に寄せて— - レスター伯の限界 

神のみぞ知るセカイ 19 (少年サンデーコミックス)

神のみぞ知るセカイ 19 (少年サンデーコミックス)

 

 

 

初めて恋をした記憶

初めて恋をした記憶

 

 

 

 

ちひろの恋と桂馬が作る物語—アニメ『神のみぞ知るセカイ』女神編最終回に寄せて—

 「本当にね、もうね、どんだけ泣けばいいんだよ......」

 

 アニメ『神のみぞ知る世界』の最終回を見終わって、あらためてちひろというヒロインの魅力に打ちのめされています。見逃しているという人は、女神編だけでも大傑作なので、今週の日曜まで視聴可能な11話までのニコ生一挙放送のTSと土曜日夜に更新される最終回(12話)を是非みてください。なんなら、最近UPされた一期二期もみればいい。

  

 

 

 

 

 今回アニメで女神編をみて、そして原作を読み返して(何回読んでも、二日続けて読んでも、19巻は涙無しには読めないわけですが)、色々と神のみの構造のすごさとか、なぜちひろがああいう立場にならざるをえなかったのかとか、今回改めて考えました。僕の中では現時点での一通り考えはまとまったし、まわりでも神のみブームがきているので、近いうちに「神のみUST」をやろうという話になっています。

 

 ただ、見終わったばかりの今は、とりあえず何かをぶちまけておかないとヤバいくらい高まっちゃってるので、ちひろ、そしてちょっとだけ天理にも触れつつ、女神編(特に最終回)の感想を書きます。

神のみぞ知るセカイ 19 (少年サンデーコミックス)

神のみぞ知るセカイ 19 (少年サンデーコミックス)

 

 

 女神編のちひろは結局、「女神がいなかった=攻略対象ではなかった」がためにあの屋上での展開になったわけですが、それと同時に攻略対象ではないがゆえに桂馬と同じ位置に立つことが出来たわけです。最後のライブシーン、構図としては翼がでた女神達はステージの下手側(向かって左)に立っていて(結は中央ですが、カメラ構図的にも下手側より)、上手側(向かって右)からちひろはその姿をみて自分には「特別な物は何もなかった」ことを改めて思い知らされ、涙をながします(あの週のサンデーは今でも大事に保管してます)。

 

 アニメだと特に顕著なのですが、位置的にちひろは女神たち(ルナとミネルヴァ含めて)よりも上手側にはいるものの、正確にはステージの中央に立っています。あの時の2B PENCILSはかのんちゃんを含めたツインボーカルなので、バランス的にはちひろがもう少し右に寄る選択肢もあったはずです。でも、ちひろは中央に立っていた。

 

*詳しい構図は以下のリンクを参照

『神のみぞ知るセカイ 女神篇』12話(最終回)感想 切なくて泣ける完璧な最終回だった:萌えオタニュース速報 

 

 

 この時、上手側にいたのはエルシィと京。この二人は女神編においては殆ど出番がないものの、裏でサポートする役割を果たす二人です。そしてエルシィはご存じの通り悪魔であり、「神」である桂馬をサポートする役割を担うキャラです。

 

 あのステージは神のみの世界における「神」桂馬が、女神を攻略するためのステージの象徴であると考えると、下手側には攻略対象である女神が、上手側には攻略を手助けする悪魔が配置されています。その中にあって、ひちろはその中間、つまり本来ならば桂馬が位置する「神」の位置にいて、『初めて恋をした記憶』を歌い上げるのです。

 

*この理論に従えば、京は女神と神(ちひろ)を繋ぐ天使であると言うことになりますね。京様ファン歓喜。

 

 

 つまり、このライブシーン自体が女神編の構図をまさに象徴的に表しています。ちひろは9話の告白のシーン以降、桂馬という「神」と行動をともにするプレーヤーの位置に立っていました。何となくしかわからないものの、攻略をすることで世界を救うことを決断した桂馬を後押しすることに徹する。

 

 歩美への告白に際して、きちんと向かい合うように、きちんと恋をするように諭すちひろは、あの時点で桂馬と同じ視点に立っていて、「歩美との恋」に向き合いつつも、桂馬が目的(攻略を完遂すること、翻って歩美を救うこと)を達成できるように動いています。この時点で分かっているんですよね、「神=桂馬」は恋をすることが出来ないのだと。

 

 もちろん、ちひろは情報に欠けが多いし(歩美以外の攻略についてはほとんど知らない)、桂馬という「神」に比べれば、単に「神」の視線の一部を体験したにすぎません。そしてなにより、直前まで桂馬に対して本気で恋をしていたのです。

 

 すべてが終わり桂木家に戻ってきたシーンで、自分の中には何もなかったのかなと問うちひろ。そして何もなかったと告げる桂馬。この台詞、普通に考えれば、「ちひろには女神がいなかった=攻略対象ではなかった」なのですが、ちひろが神の視点を体験し、桂馬が何をしていたのか(一部ではあるが)知った後では、このやりとりは「攻略対象ではない=神(桂馬)にとって重要な対象ではない」という意味と同時に、「『攻略対象=恋する対象』ではない=本当に恋をしていたんだよ」という意味も持ちえます。

 

 

 もちろん、この時の二人は自分の中のある想いを消化しきれていないので、そんなことを考える余裕はなかったんでしょう。桂馬は「今日のバンド...聴くよ、必ず」としかいえなかったし、ちひろも最高のライブを魅せると約束した上で、逆光の中でとっておきの笑顔を見せながら「バイバイ」と告げています。

 

 あの演出は「分かっててもやられる」まさしくガー不な演出でしたが、後光がさしてるシーンからライブまでの一連の流れは、ちひろが一時的に「神=桂馬」と同じ立ち位置を立ったことを表現しているんだと思います。

 

 もちろんあの世界の「神」である桂馬は全然完璧じゃないし、失敗もたくさんするけど、だれよりも真剣に女の子に向かい合っています。そんな桂馬と同じように、ちひろも懸命に真剣に生きて、桂馬とともに女神編を終わらせました。そんなちひろに、最後「神」の立ち位置が与えられた。

 

 でも、当然辛いんですよね。だって、「神」は恋をできないんだから。しかも、ちひろはそれを「神」(桂馬)の視点を体験することによって身をもって知ってしまった。だからこそ、ちひろは桂馬に「バイバイ」としか言うしか無かった。

 

 また、ライブにおいては、ステージという「神」がプレーする「舞台」に立ったのはちひろで、桂馬はちひろを「地上」から眺めるしかなかった。ここで二人の関係が逆転し、桂馬はステージ上の「神」となったちひろに対してあまりにも無力であることを改めて思い知らされてしまいます。

 

 最後、ちひろが涙を流しながら「初めて恋をした記憶」を歌い上げたとき、桂馬は屋上にいました。屋上といえば、女神編においてちひろを「攻略」しようとした「舞台」であり、そこで桂馬は一人後悔を口にし、涙を流します。まさしく、「神」である自分の「舞台」に引きこもるしか無かったわけです。

 

 

 ここまでくると、桂馬とちひろの二人の関係がより明確になります。元々、作者もいっているようにモブとして設計されたちひろは、「神」によって攻略されるべき存在ではありませんでした。だからこそ、ちひろの中に女神はいなかったし、「攻略」の記憶も残っていません。女神が入っている6人と神である桂馬は、元々、同じ舞台に立っていた(それこそギャルゲー的攻略が繰り広げられる神のみぞ知るセカイ)に対して、ちひろは「身分」違いな存在でしかなかった。

 

 つまり、ちひろの恋は、「(人間には)許されざる神との恋」という古代から延々と続く物語の系譜上で展開されていて、他の6人のギャルゲー的な攻略(特に歩美に顕著)とはレイヤーが違います。桂馬にとって、あくまでも恋は手段であり、攻略という目的(性格にいえば攻略によってもたらされる安寧)のために、女神が入っている6人とは特別な関係を築く(攻略する)ことになります。でも、ちひろは1度は攻略対象になったとはいえ、神との特別な関係(攻略)をいつまでも保ち続けることは許されてはいないのです。

 

 ただ、逆にいえば、ちひろは神である桂馬とも真正面から恋をすることができる。身分違いの「神」に、庶民が恋するなんてどうしようもない、でも、だからこそ恋が成就すれば、それはこの上なくロマンチックなものになる。なんとも少女漫画的ですが、だからこそちひろの恋は王道で、(僕みたいな「りぼん」大好きっ子は特に)感情移入しやすいのです。

 

 『初めて恋をした記憶』のサビはそんなちひろを真っ向から表現しています。

 

  二度ない瞬間と感触は 消えていたけれど 

  心にまだ残る純粋と 初めて恋をした記憶

 

攻略の記憶(「神=桂馬」との特別な関係の記憶)は無くなってしまっても、桂馬に対する想いは残り続ているのです。

 

 

 でも、神のみの「主人公=神」は桂馬なんですよね。特に女神編では、桂馬は攻略という目的の完遂を何よりも最優先している。王様ならともかく、桂馬は「セカイを作る神」なんですよ。明らかにハードルが高すぎる。

 

 そして、「神」としての桂馬の苦悩をちひろも体験してしまった。その上でちひろに出来ることは、自分も一時的にではあるけれども「神」の位置に立つことで、涙を振り絞って「想い」を伝えることだけなのです。

 

 

 とまあ思わず長々と書いてきましたが、正直、こんな小難しいことを考えなくてもいいんです。だって、アニメでも漫画でもちゃんと物語を見てれば、ちひろの想いは痛いほど伝わってくるし、桂馬が苦悩していることも分かりますから。つまり、この文章は、ちひろが報われないことを自分に納得させるために考えていることを書いているんですね。それくらいちひろの恋は凄いんです。

 

 でも、ちひろと桂馬は「初めて恋をした記憶」によって通じ合ったのだと思います。これ以上無く残酷な形で。二人はコインの裏表なんですよね。この世界のためには、バランスを崩すことは出来ないと分かっている、だから今は「バイバイ」なんです。

 

 

 こうして、ちひろは女神達とは違うけれども、桂馬にとって特別なヒロインとなりました。現時点での桂馬には、ちひろと再び向かい合う準備はまだ出来ていません。でも、この先、桂馬とちひろは再び恋をするはずだと信じています。

 

 そして、二人が再び恋をするために必要なのが(かなりちひろ寄りな見方ですが)、現在サンデーで連載されている過去編です。その過去編でキーマンになっているのは、女神編においてちひろと同様に、特殊な立ち位置にいた天理です。

 

 女神編における天理、そして天理の中にいる女神ディアナは、ハクアとともにお助けキャラ的な立ち位置にいます。最後のライブシーンでも、ステージに立っていないルナ(月夜)とミネルヴァ(栞)が下手側(向かって左)にいるのに対して、ディアナ(天理)は(アニメだと詳細な場所はよく分かりませんが)、一人は離れた場所(裏側?)にいます。

 

 つまり、ちひろとは違った意味で、ディアナと天理は攻略対象ではないけども、特別な位置にいるヒロインです。そもそも1週目の攻略の時点で、天理は通常通りの攻略を受けていません。天理は元々桂馬のことが好きで、しかも「ゲームをしている桂馬くんが好き」だといいます。この言葉は、天理が単なる幼なじみを超えて、攻略されずとも「神」である桂馬と特別な関係を築ける存在であることを示しています。

 

 女神編では、過去編に繋がる伏線がいくつもちりばめられていて、特に最終回で天理がディアナに秘密を告げたシーン(その結果ディアナの翼が復活しているのでかなり重要なこと)は、現在サンデーで連載中の展開にダイレクトに繋がっていることでしょう。そこらへんの伏線もアニメではうまく処理されていて、これは過去編もやってくれるんだろうなと期待が高まります。

 

 この先、神のみの鍵を握るのは間違いなく天理だし、ちひろとともに特別なヒロインとして一歩抜け出している存在かなと思います。もちろん女神6人全部よかったのですが、アニメはこの二人の描写が本当によく出来ていて、スタッフには感謝しかありません。今後、どうなるのか、より一層目が離せなくなるすばらしいアニメでした。

  

初めて恋をした記憶

初めて恋をした記憶

 

 

 

 

 

*ここから先は天理とちひろの立ち位置について書いてますが、過去編のネタバレを含むので、アニメから入った人、単行本派の人でも、まだ23巻を読んでない人は注意。

 

神のみぞ知るセカイ 23 (少年サンデーコミックス)

神のみぞ知るセカイ 23 (少年サンデーコミックス)

 

 

 

 

 

 

 

 さて、過去編で明かされた謎の一つとして、「女神編のシナリオを書いたのは誰か?」という問題があります。駆け魂捜索編から女神編の時点では、ドクロウ室長が裏で糸を引いているように見えるし、女神編でもヴィンテージによって処分されている(ように見える)ことから、ドクロウ室長が何らかの形で関与していることはみんな予想していたでしょう。その一方で、女神編において桂馬が「誰がこのシナリオを書いたんだ」と問いかけており、一筋縄ではいかないことも容易に予想がついていました。

 

 その謎が解明されるのが過去編で、過去に戻った桂馬自身がドクロウを通じて女神編のシナリオを自ら書いたことを知ります。正確には、ヴィンテージの策略に対応するために、未来に解決策を託したドクロウ室長と桂馬の共謀なわけですが、桂馬は女神編という未来を先に体験することで、答えを知った状態で過去に戻り、ドクロウを通じて女神編に繋がる布石を自ら打つわけです。なんという時間SFの王道的展開。

 

*直接関係ないですが、『タイムリープ』は名作なのでぜひ読むように^^

 

 

 で、この桂馬自身が未来から過去に遡ることでシナリオを書いた(まさしく「神」ですね)という展開は、実はちひろと天理という二人のヒロインの特別さに繋がる重要なポイントです。

 

 現在サンデーで連載中の過去編(学校ヒロインバトル編)において、天理は自分の中に引き籠もってしまった桂馬の心に寄り添いながら、桂馬を優しく包み込んであげます。さらには、今週号の台詞にもあったように、二人で「新しい物語を作る」役割を担うことになります。

 

 要するに、女神編とは、桂馬と天理(+ドクロウ)が過去に作り上げたプロットの上で展開する物語なのです。天理の攻略時にみた浮島の秘密と、それに対抗するための手段(現在過去編で構築しているもの)、その二つこそが女神編を根底で支える条件です。

 

 その二つを女神編において知っていたのは、天理だけです。過去編において天理とともに新たな物語を作ると決断した桂馬は、未来(女神編)を経験した桂馬に他なりません(桂馬の時間遡行はタイムリープ型なのでタイムパラドックスは生じない)。

 

 逆に言えば、女神編の時点(未来だけど桂馬的時間軸では先)での桂馬は、過去編の時点(過去だけど桂馬的時間軸では後)で何があったかを知っていません(知っていたとしたらタイムパラドックスが起きる)。つまり、女神編の時点において、天理は桂馬が過去に何をしていたかを知っているけれども、それを知らない桂馬に対しては隠し通さないといけないわけです。

 

 つまり、天理は過去編において桂馬とともに「物語を作る」という特別な絆をえながら、その絆を女神編では活かすことが出来ないのです。天理がディアナに最後に打ち明けたのは、これから過去編で描かれるであろう、桂馬と一緒に作りあげた物語(女神編)のプロットなのではないかと思います。

 

 

 ここ三週間のサンデー紙上における桂馬と天理のやりとり(特に文字通り引き籠もった桂馬を引っ張り上げるシーンと、今週の舞台袖のやりとり)をみると、ヒロインとして天理サイキョになっちゃいがちです。 

 

 しかし、忘れてはならないのは、天理とともに物語を作る桂馬は、女神編におけるちひろを経た後の桂馬なのです。つまり、客観的な時間軸では「天理>ちひろ」ですが、桂馬の主観的時間軸においては「ちひろ>天理」の順なのです。実際に、桂馬がロリちひろとの「再会」でダメージをうけて引き籠もっちゃいますしね。

 

 幼なじみであるが故に、桂馬と秘密を共有し、「神」として桂馬の隣に自然に立てるけれども、逆に女神編においてその秘密を明かすことが出来ず、介入することが出来ない天理。女神が入ってないゆえに、「神」である桂馬と特別な関係を保つことが許されないけれども、本当の意味で恋をし、桂馬と同じ「神」の立場を経験することで、過去における天理と桂馬の特別な関係にも未来から影響を与えているちひろ。

 

 過去編が終わった後は、この二人が中心となって物語が更に展開していくことは間違いないでしょう。もう、毎週震えながらサンデー読むしかないじゃないですか。若木先生、あんたなんてものを作ってくれてるんや......

 

 再び動き出す純粋と 初めて恋をした記憶

 

 (2B PENCILS & 中川かのん『初めて恋をした記憶』)

 

 

 

 ん、誰かわすれてないか? 「マイ・ラブリー・デビル」ハクアたんの未来はどっちだ!? 

神のみぞ知るセカイ 20 DVD付特別版 (少年サンデーコミックス)

神のみぞ知るセカイ 20 DVD付特別版 (少年サンデーコミックス)

 

アルバム『2B PENCILS』が証明する『神のみぞ知るセカイ』の底力 - レスター伯の限界 

同世代の女性声優コンビのラジオが熱い—『洲崎西』のすすめ—

 コミケお疲れ様でした。すごく楽しかったんですが、反動で未だに体調が悪くて苦しんでおります...

 

 新刊に関しては通販・委託を開始しておりますので、コミケで手に入れられなかったという人は是非。

サークル敷居亭関連情報まとめ&通販受付 - 敷居の先住民 

 

 さて、盆休みも終わり仕事も再開したわけですが、体調が悪いとなおさら癒やしが必要です。僕の場合には作業用BGMとしてのラジオがより重要になってくるのですが、今期のアニラジはどうも不作気味。『ワタモテRADIO』が本編以上にいずさまの痛々しさっぷりが発揮されてて面白くはあるんですが...

 

 

 そんな中、継続ラジオ組で面白いのが『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる(俺修羅)』のラジオ『ラジオの婚約者と幼なじみが修羅場すぎる』 本編のキャストでもある赤崎千夏(ちーさま)と茅野愛衣(かやのくん)の二人がMCをつとめているのですが、声優を始める前からつきあいがある「ベストパートナー」な二人のラブラブっぷりがたまらんラジオです。

  特にゲストが来た時の「ちーさまのモテモテっぷりに嫉妬するかやのくん」のかわいさはたまらんですよ。基本的に俺修羅本編を見てなくても十分に楽しめる内容になっていますし(本編をしってると更に楽しめますが)。後、種田梨沙さんがゲストに来た回は必聴です。「たのSEED♪」

 

 

 「俺修羅ラジオ」のおもしろさを端的にまとめると、「同世代の仲のいい女性声優だからこそ出る独特の空気感」にあるわけです。俺修羅ラジオの場合はイチャイチャと嫉妬が混じり合ったゆるめの癒やし空間。でもって、最近この系統のラジオが増えてきていると思うんですよね。

 

 もちろん「同世代の女性声優コンビのラジオ」という構図のラジオはこれまでにも存在していましたが、アニラジや声優ラジオで多いのは、「男性声優(しきり役)×女性声優(ボケ)」とか「先輩×後輩」の方です。前者は大概のアニラジがそうですし、後者の代表格は『モモノキ』とか『ちょろい』なので、鉄板感ありありです。

  この二つのパターンは、MC二人の間に初めから落差があるので、聞いてて役割が分かり易いですし、それ故にボケと突っ込みが逆転したときにカタルシスが生じやすく、うまくやれば安定感と爆発感を兼ね備えた番組になります。例えば、最近の『ちょろい』だと、ボケとツッコミの立ち位置が逆転気味なので(最近は先輩の矢作パイセンの方が暴走することが多い)、前番組の『レディクロ』時代と似たコーナーをやっても違った面白さを生み出しています。

 

 

 一方で、同世代の女性声優二人が並んだ場合だと、一聴しただけだと役割がわかりにくくて、ラジオとしての面白さがぼやけてしまいがちです。比較的この形式に近くて長期間続いてるラジオといえば、『水樹奈々 スマイルギャング』がありますが、『スマギャン』の場合には水樹奈々がメイン(ヘッド)、福圓さんがサポート(副ヘッド)と役割に落差をつけているので、どちらかというと「先輩×後輩」ラジオに近い構成になってます。

 

 では、なぜ最近「同世代の仲良し女性声優ラジオ」の流れが盛り上がりつつあるのか。その源流がどこにあるのかと色々考えてみたのですが、たぶん、『竹達沼倉の初めてでもいいですか』(『初ラジ』)が一つのターニングポイントになったのではないかなと思います。

 『初ラジ』は文化放送が本格的にインターネットラジオに力を入れ始めた初期に始まった番組で、開始当時のMCの二人はまだ名前が認識され始めたばかりくらいの立ち位置でした。かくいう僕も、『アイマス』『けいおん!』の両コンテンツのファンだったので、「何となく聞いてみるか」程度で第一回放送を聞いた記憶があります。

 しかし、『初ラジ』は第一回からやらかしてくれます。いきなりの「臭いフェチ」ぶっぱ(クリックしてくんかくんか余裕でした)、ぬーさんの止まらないオタトーク、あほっぷりをさらし続ける竹達、Mメガネと名付けられ性癖を晒される作家、コスプレ満載のDVDの販売......と、もう好き勝手やりまくり。正直ファンが減るんじゃないか、代わりに変態ばっかりが集まってくるんじゃないかと心配になるくらい、「イメージとか放りだしてかかってこいよ」と言わんばかりの暴走っぷり(じゃじゃ馬万能説)がたまらんラジオ、それが「初ラジ」なのです。

 

 

 つまり、「同世代の仲良し女性声優のラジオ」という役割の落差がつけにくい構成なら、同世代だけに出せる本音というか、本性というか、「もうさらけ出してしまえ」の精神というか、「暴走前提で全部をみせてしまえ」なところが魅力になっているのです。自由な構成が許され、若くて経験の浅いスタッフがキャストと「ファミリー」として成長していく、そんな緩やかな場であるネットラジオゆえに許される番組。それを象徴しているのが「同世代の仲良し女性声優のラジオ」じゃないでしょうか。

 最近でこの流れに位置づけられる番組としては、その圧倒的な下ネタ力が話題になった『井上麻里奈・下田麻美のIT革命』あたりが思い浮かびます。

 

 ちなみに、「ちょろい」もこの流れに位置づけることができます。矢作パイセンと佐倉さんは完全に「先輩×後輩」ですが、作家のちゃんこら『ちょろい』のスタッフは完全にパイセンの同世代で固められていて、「パイセン+同世代のスタッフ+佐倉さん」でファミリーを形勢することで「何でもあり」の空気を作り出しているのが、『ちょろい』の魅力の核なわけです。

 

 さて、本題に戻って「同世代の仲良し女性声優コンビのラジオ」が熱いって記事を書いているのは、最近『洲崎西』がとてつもなく面白いことを宣伝したかったからでした。

 『洲崎西』は洲崎綾(『たまこまーけっと』のたまこ、艦これの『電』『最上』など)と西明日香(『きんいろモザイク』の大宮忍など)の二人がMCをつとめるラジオですが、二人とも知名度的には「声を聞けば何となく代表作は浮かぶ」程度、つまり初ラジ開始当時の竹達、沼倉の二人と大体同じくらいです。

 そんな同世代の二人が「ほんわかおしゃべりするラジオ」かなと思って聞き始めると、ノックアウトされること間違いなし。たまこの時からは考えられない洲崎綾の「腹黒毒舌マシンガントーク」、西明日香の想像以上の天然ダメダメなボケっぷりが絡み合って、「これアカンやつや...」となるのも時間の問題です。

 いや、本当に面白いんですよ。正直ここまで斬新すぎる笑いが聞けるとは思いませんでした。「洲崎様」に罵られたい豚リスナーが回を重ねるごとに増えて行くのが、もうね、たまりませんね(末期)。そしてそんな洲崎様の本性を自然と引き立てる西明日香も地味にスキルが高いんです。

  しかし、ここにきて洲崎綾という新たなタイプのラジオ芸人声優(しかもOL出身という経歴持ち)を発掘してくるとは、アイムエンタープライズ、恐ろしい事務所。なお、第五回を聞いてる限りでは「ナイムネンタープライズ」期待の新人でもあるようです(棒

 

 

 個人的に「ゆゆ式」→「きんいろモザイク」って萌え系四コマの最新系だと思っているわけですが(これについてもそのうち詳しく記事を書きたいと思っています)、「俺修羅ラジオ」→「洲崎西」の流れは「ゆゆ式」→「きんいろモザイク」の流れに被るところがあると思ってるわけですよ。

 「そうだ、ラジオってこんなにも素でいいんだ。もっとさらけ出していいんだ」みたいな。難しく考えすぎてたところに原点回帰を促しつつ、それでいてよく聞くと実は新しい概念を提供してくれるラジオ、それが『洲崎西』なのではないかと思うのです。

 

 

 まあ、小難しいことを考える必要はないのですが、あまりにも『洲崎西』のインパクトが強かったのでついつい長文記事を書いてしまいました。それくらい普通に見せかけて圧倒的なパワー(と洲崎綾の毒舌)を兼ね備えた新世代のラジオ、それが『洲崎西』。だまされたと思って是非聞いてみてください。

 きっと第三回を聞き終わる頃にはあなたもいつのまにか新たな養豚場(洲崎様の養豚場)の一員となっていることでしょう。

 

 

*追記

 今更気付いたのですが、『洲崎西』が始まる前の4月の段階で、既に『ごぶごぶちゃん』で中村先生と洲崎様は共演してたのですね。そして、その段階で既に中村先生を軽くひるませる程度には片鱗をみせていたと。

 恐るべき、裏で糸引く植木D(モモノキ、ごぶごぶちゃん、洲崎西担当)とシーサイドコミュニケーションズ(IT革命、ごぶごぶちゃん、洲崎西のスポンサー)...

 よく聞くと、番組内で「罰ゲームに憤りを感じます」、「私にも新番組を」と発言していて、これがきっかけになって『洲崎西』が誕生し、毒舌マシンガントークキャラ洲崎様へと完全に変貌を遂げ、最終的に養豚場を開設して豚リスナーどもを罵倒することになったのですね。これが独裁が産まれるにいたる歴史的な伏線だったのか(違う)

終幕だけど最前線—サークル敷居亭C84新刊のすすめ—

 ご無沙汰しています。ここ一ヶ月ずっと本を作っておりました......

 

 ということで、今週末に迫ったコミックマーケット84ですが、今回もサークル敷居亭として参加します。本は以下の二冊。

 

 ・『敷居の部屋の終幕—Curtain Call of Sikii-Tei

  (アイマスニコマス

 ・『敷居の部屋の最前線—Frontline of Internet Literature

  (なろう・SS)

 日時:2013年8月11日(日)(C84二日目)

 場所:東館O-49b(サークル敷居亭)

 価格:どちらもコミケでは500円(通販、委託は未定)

 

 今回は二冊、しかもいつもより分厚い(98頁と114頁)ですが、両方ともイベント価格は500円で頒布させていただきます。今回でサークル敷居亭の活動は一区切りと言うことで、いつも以上に質・量ともに圧巻の出来になっていると自信をもってお送りします。

 

①『敷居の部屋の終幕

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 文字通りサークル敷居亭の終幕を飾るにふさわしい、サークル敷居亭のアイマスニコマス同人誌の集大成。くらふとさんによるライブを描いた表紙が光ります。

 

 内容は、20人超のP・ブロガー・スタッフの心に刻まれた一作品を選ぶ『ニコマス魂の一選』、卓球P・Pボウイ・アゥP・ハバネロPによる座談会『Pの目から見たニコマスのこれまでと今、そしてこれから』という二つの特集記事で、5本の寄稿記事を挟み込んだ形になっています。まさしく、アイマスニコマスの歴史・現在・未来を語り尽くす一冊となっています。

 

 こちらの本ではいつも通りの編集・DPT作業に加えて、僕はニコマス一選の企画と、『21世紀の声優ユニット史からみたアイマス・ガールズの軌跡』を寄稿しています。後者に関しては、アイマスライブに加えて、アニサマニコニコ超会議などの大規模企画に欠かせない存在になってきているアイマス・ガールズの歴史について振り返りつつ、それをシスプリからラブライブまで、同時代の声優ユニットの歴史の中に位置づけて論じたものです。個人的にはかなり力の入った論考になっていると思いますので、一読いただければ幸いです。

 

②『敷居の部屋の最前線

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 おなじくくらふとさんによる「まおゆう」な表紙が印象的な最前線の方では、「小説家になろう」、「VIPSS」をテーマに、Webにおけるテキスト系創作の最前線で創作活動を行っている作者さんのインタビュー・座談会をお送りします。

 

 この本の魅力はもう、インタビューしているメンツを並べるだけで十分につたわるでしょう。まず冒頭には『まおゆう』『ログホラ』でおなじみの橙乃ままれさんへの超ロングインタビュー(約40頁)。僕もインタビュアーとして参加していますが、びっくりするくらい濃密な内容で、これまで掘り下げてこられなかった作家としてのルーツに迫りつつ、VIPとなろうを経由することがままれさんの作家としての強みにいかに繋がっているかを浮き彫りにしています。正直、インタビューしながら泣きそうになっていましたが、読んでもらえれば熱い物がこみ上げてくること間違い無しです。

 なお、インタビューの前半部分に関しては、Web上で先行公開されていますので、待ちきれないという人は要チェックです。そして、公開されてる前半部分を読めば、後半が気になって仕方なくなると思いますので、続きは同人誌を手にとってご確認ください。また、ままれさんのSSをVIPでリアルタイムで保守していたというさっすまによる、まおゆう以前の傑作SSである『同僚女「おーい、おとこ。起きろ、起きろー」』のレビューも公開しているので、予習に読んでおくとより楽しめると思います。

 リアルタイムにVIPでままれさんのSSを追っていた人と、『まおゆう』『ログホラ』から後追いで読み始めた人も、どちらの心にも届く内容のインタビューとなっております。本当に楽しみにしておいてください。

 

橙乃ままれインタビューの一部を贅沢に公開しちゃうよ。(12438文字) - 敷居の先住民 

ログ・ホライズン1 異世界のはじまり

ログ・ホライズン1 異世界のはじまり

 

 そして、「小説家になろう」を取り扱った第二章では、「小説家になろう」の累計ランキングトップ1・2に君臨する『異世界迷宮で奴隷ハーレムを』の蘇我捨恥さん、『無職転生—異世界行ったら本気出す』の理不尽な孫の手さんへのインタビューを敢行。対照的なようでいて、繋がっている部分も感じられるお二人のインタビューは、「小説家になろう」というサイトについて考える上で非常に貴重なものだと思います。

 さらになろう座談会では、主催の敷居さんが愛してやまない『大魔王が倒せない』の作者で、8月31日に『姉ちゃんは中二病』が書籍化・販売されるはぐれっち/藤孝剛志さん、海燕さんが絶賛する『勇者様のお師匠様』のピチ&メルさんを、絶賛アニメ化中の『神さまのいない日曜日』でおなじみの現役ラノベ作家入江君人さん、ニコニコブロマガ『ゆるオタ残念教養講座』で多くの読者を魅了する海燕さん、サークル敷居亭主催でなろうジャンキーの敷居さんが迎え撃つという構図になっています。作者と読者、そしてプロ作家が一緒になって、「なろう」の魅力を骨の髄まで語りつくしております。

 

「姉ちゃんは中二病」hontoネットストアで買えるようになってました! | フジタカブログー 

異世界迷宮でハーレムを 1 (ヒーロー文庫)

異世界迷宮でハーレムを 1 (ヒーロー文庫)

神さまのいない日曜日 (富士見ファンタジア文庫)

神さまのいない日曜日 (富士見ファンタジア文庫)

 

 最後に第三章では寄稿原稿として、なろう座談会に参加してくれた入江君人さんの『まだ見ぬ仲間に捧げる「書き続ける」ための創作講座』、海燕『無名ブロマガ「ゆるオタ残念教養講座の軌跡と奇跡』を掲載。小説とブロマガと戦場は異なりますが、「書き続ける」ことを実践しつづけてきた二人による、「書き続ける」ために必要なものを綴った原稿は、「書き始める」ことは容易でも「書き続ける」ことの困難なWeb時代のすべての創作者に向けたエールになっています。こちらもぐっとくる内容なのでお見逃しなく。

 

 これらが全て詰まって、全114頁。スタッフ含めて、既に読んだ人たちから「500円とかおかしい」、「商業でやれ」というツッコミを既にいただいていますが、同人誌だからこそ出来ることを全て詰め込んだ渾身の一作となっています。一から企画・編集を担当したからこそ、自信を持ってお薦めしたい一作になっております。

 

 本当に、今回の二冊はともにサークル敷居亭が今できることを全て詰め込みましたし、なによりも今一番好きなことを詰め込んだ一冊になっています。サークル敷居亭のコンセプトである、「今自分たちが好きな物を記録すること、伝えること、残すこと」を体現できた自信作です。

 当日会場に足を運ばれる方はもちろん、通販や委託(どちらも近日告知予定)で手に入れたいという方も、是非是非一人でも多くの人の手に届くことを祈っています。

 

*番外編:咲SSについての原稿

 6月末のさきすぺ千里山でも配布された近代麻雀漫画生活『咲-Saki-最強考察2』に咲SSに関する論考を寄稿しております。こちらもかなり力をいれて書いております。また、いのけんさんによる考察時代がなによりも濃厚になっておりますので、こちらもあわせてよろしくお願いします。

 

 ・近代麻雀漫画生活『咲-Saki-最強考察2

  (8月10日(土)一日目西か-18a

iPadで艦これをプレーする方法―Air Displayを有効活用する―

 どうも、バウムにやられているレスター伯です。加古をひたすら昼寝させたい。

 

 いや、登録再会した艦これをプレーし始めたんですけど、いいですね。まだWikiも参考にせずに適当にやってるんですが、それでも全然楽しめてます。加古とか北上とかバウム声のアンニュイな艦娘が今のところ好みです^^

 

 さて、艦これはFlashを使ったゲームなので、普通の方法ではiPhoneiPadAndroidなどでは普通にはプレーできません(その点普通にFlashが動くSurfaceは強い)。Flashが(擬似的に)機能するPuffinを使う方法もあります。出先で遠征管理するとかにはすごく便利そうです。

 

艦隊これくしょん -艦これ- をiPhoneでプレイする方法(攻略/wikiまとめ/DMM/角川) - NAVER まとめ 

 

 それに対して、今回紹介するのは、主に自宅(PCと同一ネットワークに繋がる環境)でプレーする時にiPadで艦これをプレー出来ないかという話。ベッドに寝転がりながらタブレットで艦これをプレーできたら快適じゃないですか。そんな方法を今回紹介。

 

 使うのはAvatron Softwareの『Air Display』。このアプリはハード的接続なしに、同一WiFi下にあるPCやMacと連携させて、デュアルディスプレイを実現しようというものです。旧ブログでもiPad発売当時に連携方法を紹介しましたが、これが以外と便利なんですよ。

 

iPad, iPad2をPCと連携させて活用しよう、そしてiPadとMBAでWeb漫画を読もう ー『Air Display』、『TeamViewer』のすすめー - レスター伯の躁鬱 

 

 具体的な方法は以下の通り。

 

1. iPadApp Storeで『Air Display』(1200円)を購入。

2. AvatronのサイトからアプリをPC(WindowsMacもともに可能)にDLしてインスコ

3. iPadのAir Displayを起動した状態で、PC側のAir Displayを起動しパートナーにiPadを指定する

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Macの場合

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Windowsの場合

 

 これで、iPadとPCのデュアルディスプレイは完成です。

 

 この状態まできたら、ブラウザで艦これを開いて、iPad上のスペースにそのブラウザを持ってくればそれで完成。こんな感じになるはずです。

 

 

 Air Displayの優れたところは、疑似デュアルディスプレイになったiPad上ではタッチでマウス操作が可能な点。普通にiPadを操作する時に比べれば挙動がもっさいですが、これでタッチ操作で艦これがプレーできるようになります。僕は最近防水ケースを買って風呂Padを堪能してますが、これを使えば風呂でも艦これできます(エロい)。

 

 難点としては操作感以外に、「PC(Flashが使えるハード)と同一WiFi下にない場合は使えない」、あくまでもデュアルディスプレイなので「音はPCからなる」ですが、後者はBluetoothヘッドフォン・スピーカー等を使えば解決出来る問題でもあります。また、防水カバーを使えば風呂で艦これも可能です。

ELECOM 防水ケース タブレットPC 7インチ対応 TB-01WPSBK

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 また、これは技術的にはデュアルディスプレイなので、同じ方法でiPadでテキストゲーなんかをプレーするのにも使えます。むしろ、操作が殆ど必要じゃない分、Air Display使って寝転がりながらiPadでエロゲの方が楽ですが。タッチ操作が可能なのがいいのですよ。

 

 1200円とちょっと高いですが、ハード的な拡張なしで簡単にPCの作業スペースを拡げる事が出来ますし、iPadシリーズを持ってる人入れておいて損はないアプリだと思います。第四世代iPadiPad miniを新しく買って自宅での有効利用方を探している人がいたら、Air Displayを試してみてはどうでしょうか。

 

*ちなみにAir DisplayはiOS上なら動くので、全く同じ手順で自宅でiPhoneで艦これをプレーする事も可能です。ただ、スペースの問題上使い勝手はiPadほどよくないと思いますが。