レスター伯の限界

気付いたらVtuberになってた

最近の咲SSの流行 ー怜竜の関係性の逆転傾向からみる咲SS回の新たなサイクル-

 アニメ阿知賀編16話の配信も終わり、現在の公式コンテンツが本編の連載と咲日和のみになってしまいましたが、咲ファンのみなさまはいかがおすごしでしょうか? 個人的には本編のガイトさん無双にドキドキが止まらない状態が続いております。いやあ、全国編での日笠の演技が楽しみですね(ニッコリ

咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A 10 スペシャルエピソード#16 [Blu-ray]

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咲-Saki-(11) (ヤングガンガンコミックス)

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 さて、そんな公式からのコンテンツ供給が過小状態な今こそ、咲SSを読むべきですよ。今年に入り徐々に勢いを失っている感がありましたが、最近また色々と傑作・怪作が上がってきており、今後の巻き返しが期待できそうな感じになっております。

 

 例えば、近作では以下の作品がおすすめです。

 

おかしくねーしSSまとめ : 霞「京豚は朝~夕までの間に打ち砕かれ顧みる者もなく永遠に滅びる」

 咲SSが誇る名作シリーズ「カンちゃんシリーズ」を彷彿とさせる雀士掲示板物。霞さんがクソコテに落ちていく様子と、その原因となったはっちゃんのやるせなさとフォローはたまりません。咲さんのサッカーホモネタや、怜や照などのキャラ付けもカンちゃんシリーズを彷彿とさせるところもあり、新入りさんから古参の方まで、あらゆる咲SSファンに是非とも読んでもらいたい傑作です。

 

おかしくねーしSSまとめ : 穏乃「宮永さんの処女膜を破っちゃった……」

 タイトルから既にあふれんばかりに漂う狂気。本文だとこの狂気が加速し、それでいて物語の展開は破綻せず進められ、最後に超弩級のオチが待っている。このコントロールされた狂気こそ、咲SSの世界を代表する一つの系譜で有り、こういう怪作がよめるからこそ咲SSを読むのはやめられないのです。

 

おかしくねーしSSまとめ : 末原「今からわたしの本気を見せてきますよ」漫「先輩……」 

 今年に入ってからの咲SSに勢いが感じられないのは、「大将戦シリーズ」や「チームiPS」、「はまっちゃったSS」のような名物シリーズが減ったことが要因の一つでしょう。もちろん、スタジオアラタシリーズミニ雀士シリーズのような名シリーズもありましたが。

 そんな中、咲SS回における最古参シリーズの一つである末原改造シリーズの久しぶりの新作がスマッシュヒットでした。巨人の星というべったべたなネタを使いつつ、改造シリーズの魅力である理不尽さと滑稽さを絶妙のバランスで保ちながら、小気味よいテンポで進むSS。臨海の対象に風間八宏を採用するセンスも個人的に大好きです。歴史を感じるテンプレの強さに乾杯したい快作です。

 

おかしくねーしSSまとめ : 穏乃「へー、奈良に新設校が出来たんだ」 

 最近のif物で一番印象に残ってるのがこの新設校シリーズ。一年生組に焦点を当てて、ドリームチームっぽい物を作りつつ、高一最強(笑)の泉をうまく生かした作りになっている点がポイント高いです。ここら辺は阿知賀編が完結して、淡や穏乃の能力が明らかになったからこそ描ける部分も増えていて、今後の伸びしろという意味でも期待がかかります。なお、シリーズ最新作における小走先輩の大活躍にも注目です^^

 

美子「仁美ちゃんには笑っててほしいんよ」:えすえすMode 

 個人的な好みがだいぶ入ってますが、結構シリアスな内容の関係性補完SS多い新道寺SSにおいて、珍しい美子と仁美(羊先輩)に焦点が当たったSS。姫すばSSの背徳感にもたまらんものがあるんですが、哩姫同様の古なじみの二人の関係性を甘酸っぱく描いた本作はたまりません。

 

百合チャンネル 一「百合接客選手権!」 

 少し古いですが、単発の傑作といえば本作が外せません。部長を初めとしたたらし系キャラクターのホスト的接客競争SSに心の中の乙女成分がキュン死することまったなし。後、このSSは運営側で雇われた一ちゃんが徐々に壊れていくのも見所です。

 

咲「え? どの学年が一番強いかって?」前編:えすえすMode : 

 まあ、今年の咲SSを語る上で欠かせないのがこの学年対抗シリーズですよね。もう詳しく書くよりも読んで欲しい。全部読むとかなり時間を持って行かれますが、全てのキャラの魅力を出し切った、まさに劇場版咲とでもいうべきクオリティー。公式コンテンツが足りないならSSの傑作を読めばいいじゃないというのは、この作品にこそふさわしい台詞でしょう。

 

菫「銀の竜の背に乗って」 | ログ速 : 

 昨年末から連載されていた傑作シリーズ。このSSの珍しい所は、完全にファンタジーの世界観で展開する部分で、本編のキャラをぶれずに描きながら、一個の独立したファンタジーとしてもしっかり成立している部分にあります。いうなれば「咲オルタネイティブ」であり、しっかりと風呂敷をたたみきって完結させた技量に拍手を送りたいと思います。

 

 てな感じで、最後には今年初頭のSSも混じりましたが、最近も傑作SSが多く上がっています。他にも「塞「今年のインハイは麻雀じゃないらしい」胡桃「へ?」:えすえすMode」とか、「おかしくねーしSSまとめ : 木村日菜(晩成高校)「咲×日×和、かあ…」 」とかもっと色々紹介したいわけですが、長くなりすぎるのでこのくらいにして、それとは別に最近の咲SSの流れから感じていることが一つあるのでそちらを取り上げてみたいかなと思います。

 

 というのがですが、最近の咲SSにおいては、怜竜の関係性が少しずつ変化してるなあというものです。咲SSにおける怜竜といえば、初期の屑怜にしても、中期のカンちゃんシリーズやチームiPSにしても、基本的には竜華が怜にメロメロで、怜がいかに屑だろうが、怜が照やそのほかの女の子にうつつを抜かそうが、基本的には竜華は怜を待っている、そこから発展して、竜華はNTR属性という風潮ができあがっていたと思います。

 

 ・えすえす : 怜「竜華、ちょっとお金貸してくれへん?」

 ・おかしくねーしSSまとめ : 照「お前初めてか全国は?力抜けよ」

 ・おかしくねーしSSまとめ : 竜華の精子A「もう少しで怜の卵子や!」

 ・怜「告白してもうた…」咲・久・穏乃「は?」 : ちょーおもしろい咲SSまとめちゃうよー 

 

 もちろん、竜華が他の女の子とくっつくSSがなかったわけではなく、本編の描写的にお気に入りだったクロチャー(おもち的利害の一致)や、大将戦で同卓することになる淡とくっつくSSも少しではあるものの見られていました。

 

 ・おかしくねーしSSまとめ : 穏乃「大将戦の4人でお泊まり会?」 

 

 それが最近になると、むしろ竜華が浮気する、もしくは怜が竜華をNTRれる描写のSSが少しずつですが増えてきています。例えば、以下のSS。

 

 ・おかしくねーしSSまとめ : 怜「やっぱり竜華の太ももは最高やな」竜華「冗談はよしてぇな」 

 ・ おかしくねーしSSまとめ : 怜「ワ○ミに就職することになったでー」 

 

 特に二つめのSSに顕著ですが、竜華が怜を背負いきれなくなった結果として、浮気に走るという流れになっています。これは過去にはいくら怜が屑でも、竜華の甲斐性がたりなかったり、iPS棒(スティック)が小さかったり早かったりした結果、怜が浮気する、もしくは誰かにNTRれる展開がほとんどだったのとは非常に対照的です。

 

 つまり、この二人の共依存の関係が最初期は竜華の方が精神的に依存している感じに取られる傾向が強かったのに対して、最近では怜の依存度も高く見られるようになってきた結果、竜華の優しさの部分(かつては弱さや情けなさに取られることが多かった)を浮気やNTRにつなげる作品が少しずつ増えてきているではないかと推測されるのです。たぶん、アニメ15話、16話部分で怜竜カップリングの(哩姫と並ぶ)公式補強が影響していて、公式が揺るがないならむしろ弱い方の竜華を揺れさせてしまえばいいんじゃないかという傾向があるのかもしれません。

 

 こう考えると、アコチャーが援交キャラからチームiPSご満悦担当に華麗にキャラチェンジしたように、怜竜の関係性も咲SSが流星しだしてから大きく動き出している感があります。怜竜は咲SS回においては最も人気のカップリングですし、それが単に個人の好みというよりも全体の風潮変化の中で描き方が変わってきているというのは、咲SS回がきちんと二次創作として生きていることを象徴しているといえないでしょうか。

 

 今回は咲SS回の最近の傑作を紹介しつつ、そこに怜竜の関係性の変化を読みとりつつ、咲SS回が二次創作として正しいサイクルをたどっていると論じてきました。阿知賀編の終わりが見えてきた今年の最初の四半期よりも、公式における終わりを迎えた今の四半期の方がむしろSSとしては勢いを取り戻しているというのも非常に興味深い部分ですし、咲の底力を感じる現象でもあります。

 

 個人的には本編での描写が増えても、いまいち人気のない臨海SSが今後増えることに期待していますが(むしろ成香ちゃんSSの方が多い)、新たなサイクルに入ったことを感じさせる咲SS回が今後どのような方向に進化していくのかまだまだ目が離せません。

 

参考:二次創作の最前線はここにあるー咲SSのすすめー - レスター伯の限界