15分アニメだからこその濃度 ー『よんでますよ、アザゼルさん。』のすすめー
昨日は『日常』を爆笑ギャグアニメとして紹介しましたが、
今期のギャグアニメと言えばもう一本、
『よんでますよ、アザゼルさん。』
も『日常』に匹敵する爆笑アニメでしょう。
不条理/シュールな濃さを持つ『日常』とは異なり、
より直球で下衆な濃さが魅力な『アザゼルさん。』を本日はご紹介します。
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1.キャスティングの時点で勝利確定な声優陣
『日常』が比較的若手中心で知名度ではそこまでではないのに対して*1、
『アザゼルさん。』は「レベルをあげて物理で殴る」と言わんばかりのキャスト。
「よんでますよ、オノサカさん。」のタグが示すように、
首領パッチばりの暴走っぷりを見てるだけでもうたまらなく面白いですw
その他にもレギュラーで浪川、神谷、ゲストキャラでくぎゅ、小林画伯、
更には大ベテランの玄田哲章さんまでラインナップされている上に、
基本的に自由に振る舞って行くので、一筋縄で行く訳もなく、
作中の佐久間さんと同様に、現場でのサトリナさんの苦労っぷりが脳内に浮かびますw
しかし、このビーストウォーズを思い起こさせるようなカオスっぷりはたまらなく面白い。
元々テンポがいい漫画ですが、
ノリノリの声優陣の演技によってさらに加速する爽快感はたまりませんよ。
後、アニメを見て声優陣のカオスっぷりが気になった方は、
Webラジオもぜひ聞いてみてください。
相変わらず自重しないヤングのため放送できない部分も多いですがw
2.監督水島努の安定感
そんなフリーダムでカオスな声優陣に前回でやらせつつも、
ギャグアニメとして破綻せずにきっちり仕上がっているのは、
水島努監督の手腕あってこそでしょう。
様々なタイプのコメディの監督を務めてきただけあって、
全開で突っ走っているようで、同時に余裕も感じられる作品に仕上がっています。
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そのため、原作は『イブニング』に連載中ですが、
雰囲気的には「ジャンプアニメ」と言われてもおかしくない感じで*2、
ピーキーなようで、幅広い層の視聴者に受け入れられるギャグアニメだといえるでしょう。
ここら辺は、『侵略!イカ娘』を大ヒットさせた水島監督の面目躍如と言ったところでしょう。
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3.15分アニメというフォーマット
15分アニメというフォーマットも『アザゼルさん。』を考える上では重要でしょう。
いくらハイテンションな掛け合いが面白かろうが、
あの濃度だと30分続くとさすがに疲れてしまうでしょうし、
15分だからこそ突っ走りきることができる訳です。
この15分アニメというフォーマットは冬アニメから徐々に浸透してきているようで、
15分だからこそ濃いテーマと濃い演技が生きてるなあと思います。
また、乙女ゲーを中心としたメディアミックスアニメの『Starry Sky』のように、
普段なら敬遠しがちなジャンルの作品も、
15分なら意外にすんなり見えるなど、
新たなフィールドを発掘するのにも適したフォーマットではないでしょうか。
もちろん短時間ゆえにインパクトが求められる面もありますし、
現状では声優の演技に対する依存度が高い傾向も見受けられますが、
動画配信時代においては、短くて気楽に見えることが一つのメリットになるでしょうし、
今後更なる増加が見込まれるのではないでしょうか。
個人的にはイカ娘なんかは15分のフォーマットで放送して、
放映期間が倍になったらいいんじゃなイカとか妄想したりもしてます。
まとめ
パワーとクオリティの高さの両立に加えて、
15分アニメという新たなフォーマットの可能性を示すという意味でも、
『アザゼルさん。』はエポックメイキングなギャグアニメとなるかもしれません。
『日常』と『アザゼルさん。』というギャグアニメの新たな二つの方向性を感じる11年春アニメ*3。
懐かしさと新しさの両方を感じさせる10年代のギャグアニメの動向から目が離せません。
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補足
15分アニメというフォーマットに関しては、
15分×2本=30分アニメとの関係と切り離して考えることはできないでしょう。
ただし、後者がオムニバス色が強い作品が多いのに対して、
一週間に一本しか放送されない前者はまた違った傾向を示している気がします。
ここら辺はもう少しデータがたまってから改めて考えてみたい問題ですね。